単なる節約術ではない

江戸時代に多くの藩や農村を立て直した金次郎の教えは現代においても家事の付加価値を高め、家計を改善させることができる普遍的な教えであると思います。

例えば、毎朝出勤前に買うカフェラテ代や仕事帰りについつい寄ってしまうコンビニ代など一つ一つは少額でも、積み重なると意外な出費になっている、こうした出費をラテマネーと言います。

毎日500円の支出は1カ月で1万5000円、1年で18万円にもなります。コンビニは週末のご褒美にする。毎日コーヒーを買う代わりに、自宅で淹れたコーヒーを持参する。そうすれば、浮いたお金は貯蓄に回したり、自己投資に使うこともできます。一見すると微々たる額ですが、これを数年、数十年と継続すれば、やがて大きな資産となるでしょう。二宮金次郎が捨てられていた苗から一俵の米を収穫し、やがて生家を復興させた姿そのものです。

金次郎の積小為大の教えは、単なる節約術ではありません。日々の小さな行動や選択一つ一つに意識を向け、小さな努力を継続することで大きなことを成し遂げるという小さな努力、小さな改善の重要性を教えてくれます。目先の欲望に流されず、小さな良き習慣を積み重ねることが豊かな暮らしの秘訣なのではないでしょうか。

「身の丈に合った生活」の重要性

二宮金次郎の教えの一つである「分度」は、自分の収入を知り、身の丈に合った生活を送るということです。服部家ではこの分度を守るために3つの約束をしていましたね。これは現代の家計管理においても非常に重要なポイントです。

現代人の多くはSNSを見ては「あれもこれも欲しい」と欲求が膨らみ、気づけば身の丈に合わない生活を送っていることが少なくありません。これは江戸時代から変わっていないようです。金次郎は、こうした分を超えた生活をしてはいけないと教えました。

「自分にとって本当に必要なものなのか」「自分の分にふさわしいか」をしっかり見極めることが大切です。「収入はいくらあるのか」そして「何にいくら使っているのか」を明確にすることで、どこに見栄や無駄があるかが見えてきます。そのうえで、正しい予算立てをすることが大切です。

服部家のように「食事は飯と汁だけにする」「着物は木綿だけにする」はなかなか厳しい約束ですが、「外食は月1回にする」「服を見に行くときは財布を置いていく」といった具体的な行動目標を持つことで分度=予算を守ることができるようになります。