音や光の強い刺激を連続して受ける
ゲームやYouTubeにハマることの問題の一つめは、生活習慣の乱れです。
ゲームなどに熱中するあまり、勉強はもちろん、食事や片づけなどがおろそかになったり、お手伝いをしなくなったり、就寝時刻が遅くなってしまったりなどの乱れが起きやすくなります。就寝が遅れれば起床も遅くなるのは当然。脳が休息し、情報を整理するための時間である睡眠時間も不足してしまうでしょう。子どもの脳は、生活リズムが整ってこそ健やかに育ちます。育脳の土台ともいえる部分が危険にさらされることになります。
二つめは、音や光の強い刺激を連続して受けることです。
デジタルデバイスからの音や光の刺激は非常に強く、それらに長時間さらされると、本来五感を通して感じ取るべき、においや温度、手触り、体の動きといった感覚が入りにくくなります。これは決して小さな問題ではありません。
三つめは、睡眠の質の低下です。
就寝前に強い光を浴びると、体内時計に関係するメラトニンの分泌が抑えられ、寝つきが悪くなったり、眠りが浅くなったりします。脳の回復や成長にとって、これは大きなマイナスです。
四つめは、体験の偏りです。
ゲームしかやらない生活が続くと、外遊び、人とのやりとり、家族との触れ合いなど、子どもの時期に体験しておきたい多様な経験に触れる時間が失われてしまいます。これらの経験は、将来、論理的に考えるための「材料」として脳に蓄積しておくべきもの。それが不足してしまう恐れがあるのです。
最後に、家庭内の雰囲気のことも忘れてはなりません。
「ゲームばっかりして」と親が常にイライラし、子どもは「うるさい」と反発する。こうした状態が続くと、親子関係がぎくしゃくし、本来、安らぎの場であり休息の場であるべき家庭が、その役割を担えなくなってしまいます。
つまり、問題の原因は、ゲームやYouTubeそのものというよりも、それらを楽しむためのデジタルデバイスの使い方や、生活の中でゲームやYouTubeをどう位置付けるかというところにあるのです。
一般的に、ゲームやYouTubeなどについて、「わが家のルール」を作って楽しむということが推奨されています。ルールを作ること自体は正しいと思いますが、ここまで述べてきたような問題点を踏まえたものになっているかどうかが肝心なところです。
「平日のゲームは1時間まで」というルールを決めたところで、「なぜ平日は1時間なのか」の理由が子どもも納得のいくものになっていなければ、ルールとは名ばかりの、親からの強制に過ぎません。
ゲームの時間は守れたとしても、「楽しいものでも、メリット・デメリットを考えて、一定の枠の中で楽しまないといけないな」という発想を子どもがもつことにはつながらないのです。
こうした問題を防ぐために必要なのは、ゲームを禁止することではありません。
私が勧めているのは、子どもと一緒に「わが家のルール」を作ることです。時間、場所、遊ぶタイミングを話し合い、親が一方的に決めるのではなく、子ども自身が納得できる形で共有する。
ゲームやYouTubeには、確かにリスクがあります。しかし、適切な距離感で付き合うことができれば、これらの良い面が生きてくる可能性もあります。
「どうすれば生活が乱れないか」「どうすれば楽しく遊べるか」を一緒に考えること自体が、子どもの論理力を育てる大切な経験になります。
ゲームやYouTubeの良い面と悪い面を子どもと一緒に整理し、検証してみる。その姿勢こそが、子どもの脳と論理力を育てるのだと、私は考えています。
※本稿は、『プレジデントFamily2026春号』の一部を再編集したものです。


