「令和流」ご一家お揃いの公務

天皇ご一家がWBCのご観戦にお出ましになったのは3月8日。国際試合では60年ぶりの天覧試合という。

ご一家がお帰りになる時に、選手たちは礼儀正しく帽子を取って姿勢を整え、観客たちは拍手でお見送りした。ご一家はお手を振って観客にお応えになり、また、選手たちの敢闘を讃えて拍手をされた。ご一家らしいお優しいお心配りだった。

その場にいなくても、その光景を映像で拝見して、清々しい気持ちになり、感銘を受けた人たちも少なくなかっただろう。

この時のお姿を拝見しただけで、令和の皇室において天皇皇后両陛下のお気持ちやお考えを誰よりもまっすぐに受け継いでおられるのはどなたか、一目瞭然だった。

ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)1次リーグ、日本対オーストラリアの試合を観戦するため、席に到着された天皇、皇后両陛下と長女愛子さま
写真=時事通信フォト
ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)1次リーグ、日本対オーストラリアの試合を観戦するため、席に到着された天皇、皇后両陛下と長女愛子さま。右端は野球日本代表前監督の栗山英樹さん=2026年3月8日、東京ドーム[代表撮影]

さらに3月25日〜26日にかけて、ご一家がおそろいで、初めて東日本大震災の被災地である岩手・宮城両県にお出ましの予定だった。だが、天皇皇后両陛下がお風邪を召されてご体調が思わしくないため、いったんご訪問を取り止められた。ご日程は再調整される見通しだ。

4月6日〜7日に予定されている福島県への同じくご一家おそろいでのご訪問は、両陛下のご体調の回復次第で検討するという。

「令和流」という表現をあえて使うと、繰り返し“ご一家おそろい”でご公務に臨まれ、国民へのこまやかなご配慮をお示し下さることこそが、それにあたるだろう。

この令和流は、国民にとって最も丁寧で思いやりの深いなさりようであると同時に、ご一緒される敬宮殿下にとっては「天皇とはいかにあるべきか」を陛下ご本人のお側で経験できる最高の“帝王学”とも言える。

皇位が世襲されるべき核心が“精神の継承”にあるならば、両陛下のご長女、敬宮殿下こそが誰よりも次代の天皇にふさわしいことは、ほとんど自明なように思える。

天皇陛下のご本心

今年の天皇誕生日を控えての記者会見で、天皇陛下は敬宮殿下について多く触れられた。その中で、次のようにおっしゃっていた。

「今後、皇族としての仕事の幅も徐々に広がってくるのではないかと思います。愛子には、引き続き感謝と思いやりの気持ちを持ちながら、これからも多くの経験を重ねて更に成長し、皇室の一員としての務めを大切に果たしていってくれることを願っています」

この時のご会見の内容が、これまでにないほど率直に、敬宮殿下がご結婚後も「皇族」として皇室にとどまってほしい、というご本心を吐露されたものであったことは、2月27日公開のプレジデントオンライン「天皇陛下がこれほど率直な本心を示されたことはない」皇室研究家が読み取った愛子さまへの強い望み で、少し詳しく解説した。関心のある人はそれを参照してほしい。

天皇皇后両陛下のお子さまが皇族として皇室にとどまられるのであれば、その方がつぎの天皇として即位されることが最も自然な流れだろう。

ここでは、先に引用したおことばの中にあった「引き続き感謝と思いやりの気持ちを持ちながら……」という一節の背後に、長年にわたる天皇ご一家の深い“心の絆”が秘められているという、見逃されがちな事実を紹介したい。それによって、親子=直系による皇位継承こそが望ましい事実が、おのずと浮かび上がるはずだ。