70歳以上の通院は最大7万2000円の負担増

「高額療養費」とは、保険医療で高額な費用がかかった場合、一定額以上かかったぶんについては戻してもらえるというもの。たとえば、現役のサラリーマンが病気の治療に100万円かかったとしたら、3割負担なので30万円ですが、「高額療養費」で定める上限金額は9万円弱なので、30万円払っても請求すれば約21万円を戻してもらえます。

この「高額療養費」の、「これ以上は払わなくてもいい」という上限が引き上げになります。これについては、2025年、当時の石破内閣が上限額を引き上げようとしたところ、がんや難病などの患者団体をはじめとする多くの国民の強い反発で、引き上げを諦めた経緯があります。

また、高市首相も総裁選では「負担を増やすべきではない」と反対を明言していたのですが、首相就任後の11月に前言を翻し、「能力に応じてどう分かち合うという観点から検討を進めていく」と言い出し、選挙で大勝したことを追い風に、数の力で政府予算案を成立させると同時に、強硬に2026年8月からの「高額療養費」の上限引き上げを決める方針です。

負担額は、年齢、収入によって変わりますが、たとえば70歳未満で年収600万円の人は、100万円の医療費がかかると現状の自己負担は8万7430円ですが、2026年の8月、2027年の8月と2段階で上限が上がることで、10万4830円となります。つまり、月1万7400円の負担増に。年収700万円だと、月約3万円負担が増えます。

医療費明細書
写真=iStock.com/Yusuke Ide
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さらにすごいのは、70歳以上で通院する人。「外来特例」という自己負担を安くする設定が見直され、年収約200万~370万円の人だと現在の負担額の上限年14万4000円が、2年後には年21万6000円となり、今よりも年間で7万円2000円も負担が増える人が出てきそうです。そうなると、食料品消費税の年約6万円減税分を優に超えてしまい、負担は増すばかりです。

今回の見直しでは、現役世代(70歳未満)の8割が負担増になり、70歳以上の人でも、前述のように通院で大幅な負担増となるために、乳がんや肺がんなどで外来化学療法を行っている患者の中には、治療を断念せざるを得ない人も出てくるのではないかと心配されています。

こうしたものこそ、「国民会議」で丁寧な議論が必要だと思いますが、負担増はさっさと決め、負担減の消費税減税などは「国民会議」でなるべく先送りしようとしているように見えます。