生きている限りやるべきことがある
今の人たちは戦争を知らない世代ですが、それでも、日々の中でつらい出来事や、思わぬ不幸に見舞われることがあるでしょう。
人のご苦労は、外からは見えにくいものです。それぞれに立場や状況が違うわけですが、ひとついえることがあるとしたら、失ったものや絶望に向けていた目を、残った光に向けること。
戦争も、大きな災害や事件も、痛ましいものですが、起きてしまったことが変えられない以上、私たちは、そこから立ち上がって前を向き、一歩踏み出して歩いていくしかありません。
「絶望しているときに光など見えない」と思われるかもしれませんが、命があるなら、あなたにはやるべきことがあって生かされているということだと思うのです。
95歳での手術、リハビリを経て
命があれば、動き出すこともできますし、落ち着きを取り戻せば、手を差し伸べてくれる周囲の存在に気づくかもしれません。今すぐには無理でも、少しお休みしたなら、「あるもの」に目を向けてみる。希望はそこから湧いてきます。
私は95歳で人工関節の手術をして、ひとりで歩くこともままならなくなりました。それでも、杖をついて歩くという希望を持ち、毎日リハビリを欠かさずしています。
けがをしたときに絶望しなかったのは、私が残った光に目を向ける生き方をしたいと、常々思ってきたからです。
1923年東京生まれ。1944年東京女子薬学専門学校(現明治薬科大学)卒業。薬剤師である父の姿を見て自身も薬剤師になろうと決意し、大正12年に父が創業したヒルマ薬局の2代目として働き始める。父とともに、戦後の混乱の渦中にあった東京の街に薬を届ける。薬剤師歴は80年超、調剤業務をこなしながら服薬指導や健康の相談に乗る姿は、「薬師如来のよう」と評判で、地域の人たちの心のよりどころに。101歳で亡くなるまで店に立ち続けた。
