目標偏差値を営業ノルマのように伝えていないか

言い換え例③「あと○点で合格圏なのに」→「前より1歩、合格圏に近づいてきたね」

子供のタイプや状況によってはやる気を削ぐ結果になりかねないのが、「合格圏まであと○点(偏差値○ポイント)」という、不足部分を数値化した目標設定だ。

「人は足りないところばかりを指摘され続けると、『こんなに頑張っているのに全然分かってくれない』と悲しくなり、防衛反応の壁が上がり相手のことを受け入れられない精神状態になっていきます。

中には、プレッシャーをかけられることで頑張れる子もいますし、短期的には効果があるかもしれない。ただ、つらい気持ちの中で頑張り続けることはヘルシーではないし、サステナブルでもない。子供はお尻を叩かれ続けるとそれに慣れてしまい、嫌気もさします。どこかでやる気がなくなったり、『もういいや』と諦めたり、やる気に波が出てきます。一番避けたいのが、その波が一番下がったところが受験期に重なってしまうことです」

できたところに目を向け、「前より1歩、合格圏に近づいてきたね」と労おう。その上で不足分の対策を一緒に考える場合は建設的な会話にするのがいい。

園田恭子さん
撮影=堀隆弘

ゴールの再設定もやる気を削ぐ

言い換え例④「この成績なら、もうちょっと上を目指せるかもね!」→「がんばってここまで達成できたね」

似たケースで親がやりがちなのが、「ゴール」の再設定だ。

「苦労の末、ようやく合格圏にたどり着けた。目指すべきゴールに到達したはずなのに、親御さんの中にはその数字を見て『これなら、もうちょっと頑張ればワンランク上の難関校にもチャレンジできるんじゃない?』とムクムクと欲が出てしう方もいるでしょう。

しかし子供にしてみれば、せっかくたどり着いたゴールが、また遠ざかってしまう。子供のエネルギーが満ちているときに本人が目標を上げる分にはいいですが、そうでなければ、『話が違う』と感じます。

まずは、『今ここまで来たね』『進んでいるね』『達成したね』と親が子供の努力を十分に認めることが先です。その上で次を目指すか目指さないかを話し合ってほしい。子供だって、努力を認めてもらえてエネルギーがチャージされた上で、次を考えたいですよね。

とはいえ、反射的にため息をついてしまったり、『あと○点で合格圏だったのに』と言ってしまうこともあるでしょう。それも仕方ない、人間ですから。『まずは10回中、2回できればOK』といった軽い気持ちで、親も意識の向け先、声掛けを変えていく練習をしていきましょう。受験のサポート期間は長いですから」

親のメンタルは子供に伝播しやすく、言葉はもっとダイレクトに影響を与える。だからこそ日々、子供のやる気と子供の「今日できた1点」を探して積み上げてみてはどうだろうか。それが習慣化すれば、子供のやる気とよい親子関係を維持しながら目指す学校に近づけるようになるかもしれない。

園田 恭子(そのだ・きょうこ)

ANA国際線客室乗務員や、コンサルティング会社でのコーチング・コンサルティング業務を経て、独立。現在はTransformでエグゼクティブ・アドバイザーとしても活動中。セルフマネジメントの領域から、ビジネスマンに向けてチームや組織で成果をあげていくためのサポートをしている。プライベートでは3人の子の母。13年前、娘の中学受験に伴走し、第一志望校のミッション系の難関女子中高合格に導いた経験を持つ。