ポジティブ:ネガティブ=3:1の比率を意識
園田さんがプログラムやコーチングで伝えているのが、“3:1の法則”に基づいた声がけだ。
「“3:1の法則”とは、心理学者バーバラ・フレデリクソン博士が拡張形成理論の中で提唱しているポジティビティとネガティビティの比率で、ポジティブが3で、ネガティブが1です。この理論では、ポジティブ感情は思考や注意の幅を“拡張”し、人間関係・スキル・回復力などの“資源”を“形成”し、ネガティブ感情は危険回避などに役立つけれど、視野を狭め、行動の選択肢を縮める傾向があるとしています。そして、その比率は3:1がよいというものです(※)。(※)『ポジティブな人だけがうまくいく3:1の法則』(2010年、日本実業出版社)
ちなみに、3:1という主張に関してはその後修正されていますが、ポジティブ感情の効果や可能性については間違いないと言われており、3:1という数字は行動変容の目安にしやすいので、修正が出ていることを添えながらこのことを伝えています。
ただでさえ、できないことばかりに目が向いてしまうのが私たち人間ですし、それは子供も同じ。ですから、親が意識してできていることを認知し伝えてあげると良いでしょう。その時に参考にしてほしいのがこの比率です。 特にポジティブを3倍は、かなり意識しないと難しいですよね。
ただ、ネガティブを伝えなくてよいわけではありません。成長のためにはそれも伝える必要があります。私は先にポジティブを伝えてあげるのが良いと思っています。ポジティブな認知を受け取ることで、『親はちゃんと自分の頑張りを見てくれている』と安心し、その後のネガティブについても防衛や抵抗の反応を軽減し、心を開き、受け入れやすくなると考えています」
また、現状のできた・できていないだけではなく、「頑張っているプロセス」や「前回より伸びた部分」にも意識を向けて認知の言葉をかけてほしい、と園田さんは話す。
「仮に前回の成績よりわずか『+1点』だったとしても、そこには、『こうしたからうまくいった』という成功要因が潜んでいるはず。『+1点』は『+5点』『+10点』へと伸ばしていくための成長の種であり、自信の源でもあります。そして時間が進むにつれて、種から芽が出て自信が育っていきます。
勉強をして結果を出すのは子供本人なので、親としてどう本人のやる気をサポートするかという意図に基づいて声掛けをしてあげてほしいです」
ここからは、ネガティブな言葉が出そうになったとき、どうポジティブな部分に意識を向け直せるか、よくあるケースをもとに提案してもらった。
言い換え例①「またここでミスしたの?」→「前回よりココができるようになったね!」
テスト結果を見ると、反射的に間違えたところに目が行き原因探ししてしまう人も多いだろう。しかしその気持ちをぐっと抑え、“3:1の法則”をもとに、以前よりできるようになったところを3つ探して褒めるのだ。「前回に比べて、ココができるようになったね」「漢字の止めハネはらいが丁寧に書けるようになったね」「計算ミスが減ったね」などと。「そして子供の誇らしげな顔を確認してから、伝えたい指摘をそっと付け加えてみてはどうだろう。
言い換え例②「なかなか伸びないね」→「前はどうしていたっけ?」
今だけでなく過去にも目を向けるとよい。
「以前の調子がよかった時、伸びていた時のことを思い出して、『あのときはああやって伸びていたよね』と、過去の成功体験を思い返してみると、子供も『あのときと同じようにやれば、また伸びるかもしれない』と前を向くことができるかもしれません。
ただ、もし子供が頑張っているのであれば親が結果を焦らないことの方が大事です。『頑張っているけど、点数になるまでもう少しかかるかもね。いつか点数に結びつくから諦めないで頑張ろう』とプロセスの方に意識を向けてあげるとよいと思います」