「女性・女系天皇」への道となる首相の“意欲”

高市首相は、衆議院を解散したときにも見られたように、自分だけで決断したい政治家である。

初の女性首相として大きな功績を上げたい。その点で、皇室典範の改正にこぎつけたとしたら歴史に名が残る。憲法改正まで実現したら、それはとんでもない大事件である。

ただ、旧宮家の養子が可能になったとしても、前にも述べたように、養子になる人間が現れる保証はない。また、仮に現れたとしても、男系では室町時代まで遡らなければならないわけで、現在の皇室との近さを強調するには明治天皇と女系でつながることをアピールしなければならない。

それも、「女性・女系天皇」への道を開くことになるが、養子が現れず、また、現れても国民に認められなければ、次の手を打つしかなくなる。

「女性宮家」の創設が導く「愛子天皇」

もう一つ国会で議論されてきたのは、女性皇族が結婚後も皇室に残る「女性宮家」の創設である。

これについては、配偶者と子どもを皇族とするかどうかで議論になってきた。ただし、養子案が不調で、皇族の数が増えないのであれば、それを認めるしかない。認めなければ、皇族の数はまったく増えないのである。

いったん皇室典範が改正されれば、その伝統としての重みは失われ、状況に対応するために次々と改正していくことが可能になっていく。

女性宮家が創設され、その配偶者や子どもが皇族になるのであれば、それは、「女系での継承」が容認されたことになる。それは、女性天皇はおろか女系天皇への道も開くことになる。

皇室典範を改正することは、これまでの伝統を破壊し、新たな伝統を生み出す方向に作用していく。それは高市首相に対する支持が高い間にしか実現できない。となると、まさにそれは喫緊の課題である。

特別国会は18日に召集され、会期は7月17日までの150日間と定められた。この長期にわたる国会が開かれている間に、皇室典範の改正も議論される。実際の改正は次の国会かもしれないが、時代は「愛子天皇」が実現される方向に、着実に動いているのである。

天皇皇后両陛下並びに愛子内親王殿下(2026年2月23日/出典=宮内庁Instagram[@kunaicho_jp])
島田 裕巳(しまだ・ひろみ)
宗教学者、作家

放送教育開発センター助教授、日本女子大学教授、東京大学先端科学技術研究センター特任研究員、同客員研究員を歴任。『葬式は、要らない』(幻冬舎新書)、『教養としての世界宗教史』(宝島社)、『宗教別おもてなしマニュアル』(中公新書ラクレ)、『新宗教 戦後政争史』(朝日新書)など著書多数。