自分より大きな動物に遭遇して身の危険を感じると、どちらのグループも隠れますが、大脳皮質がないほうは脅威が去ったずっとあとまで隠れたままです。そうやって、すでにいもしない捕食者を避けようとして飢え死にしてしまうこともあるのです。
人間の脳もこうした小動物の脳と同じように、遊びが生存本能のエリアから生じます。大脳皮質は学習と情緒的な安定にとってきわめて重要な部位ですが、遊びはその大脳皮質における神経接続の形成に役立つのです。遊びを奪われて育った子どもはたいてい、人間関係を築いたり経験から学んだりするのが苦手です。
遊び中心の幼稚園に通った園児のその後
遊びは社会行動の原動力となります。
ミシガン州イプシランティの「ハイスコープ教育研究財団」が実施した1997年の研究では、恵まれない環境で遊び中心の幼稚園に通った子どもたちのほうが、きちんと組み立てられた授業中心の幼稚園に通った子どもたちと比べて、のちの人生でよりうまく社会に適応できることが判明しました。
23歳になるころには、授業中心の幼稚園に通った子どもの3分の1以上が重罪で逮捕されていましたが、遊び中心の幼稚園に通った子どもの逮捕率は10パーセント未満でした。これに加え、成人してから停職処分を受けた人の割合を見ても、遊び中心の幼稚園で育った子どもでは7パーセント未満でしたが、授業中心の幼稚園で育った子どもでは25パーセント以上でした。
幼少期の遊びは他のもので代替できない
幼い子どもの頭と体の発達において――最も幼い子どもでは、友情の発展においても――遊びが果たす役割はほかのものでは替えがききません。国連は、すべての子どもの基本的な権利として遊ぶことを挙げています。遊びはそれほどに重要なのです。遊びは子どもが認知的、身体的、情緒的、社会的能力を築くための土台となります。
「発達心理学者、神経科学者、教育の専門家のほぼ全員が、子どもの発達を促し、のちの人生でうまくやれるように準備をさせる最良の方法として、0歳から7歳までの子どもによく遊ぶことを勧めています」とサイエンティフィック・アメリカン誌でも報じられています。

