いじめや暴力は学力にも影響する
ただ、これとは反する事実もあります。ハッティのメタ分析で、いじめられたり無視されたりした経験のある子どもは学校の成績や出席率が下がることがわかっています。実際、成績が落ちるのはいじめられていることを示す最初の兆候なのです。
幼い子どものデータは少ないのですが、暴力にさらされた子どもに関する調査のひとつでは、2歳から5歳までの子どもの20パーセントに身体的な暴力を受けた経験があり、15パーセントが言葉でからかわれたことがあるという結果が出ています。
心理学者のロイ・バウマイスターは社会的な苦痛の複雑さを研究の対象とし、拒絶・排除されたときの情緒的な反応が、社会での自分の居場所を求める気持ちとどう絡みあっているかを探りました。バウマイスターの研究によって、社会的苦痛が精神的健康にどれほど深い影響を与えるかが明らかになり、社会との断絶による苦しみが体の痛みと同じくらい強い影響を及ぼすことが示されました。
遊び時間の長さは学習能力に影響する
これは教育にも言えることです。社会的な拒絶や排除を経験した生徒には、知的思考力とセルフコントロールの能力に低下が見られます。社会的な苦痛は、集中力を阻害し、学習プロセスの妨げになるため、全体的な学業成績の低下につながるのです。
長年、遊びの重要性に関するエビデンスは増える一方です。研究者たちは、遊びが――とりわけ人との関わりを要する遊びが――脳の発達に深く有益な影響を与えることを示しつづけてきました。実際、子どもの遊び時間の長さが学習能力に多大な影響を及ぼしています。積もり積もったエビデンスが、もっと子どもの遊びの機会を増やすようにと、親や教師を促しています。


