「リスク」に注目すべき理由
投資を行う際、目先のリターンにばかり目がいきがちになりますが、注目すべきはリスクです。なお、リスクとは、「1年間で価格が平均してどの程度上下にブレる可能性があるか」を数字で表したものです。例えば、リスク16%であれば、おおまかには「平均的には、1年でプラス・マイナス16%程度のリターンのブレを覚悟しておきましょう」というイメージです。ただし暴落時には、それ以上に下がることもあります。
リスクは小さいほど安定していると見ることができます。最近のリスク水準が低くなっていることがわかりますね。
ただ、今のリスクとリターンの水準が普通だと思っていると、黄色信号です。着実に将来のキャッシュを増やすことを狙っていく場合、想定されるリスクを自分の資金に落とし込んで確認し、下落相場に耐えられる体制整備が肝心です。
そして、投資を長く続けるうえで欠かせない視点は、「最悪のケース」をあらかじめ想定しておくことです。これまで個人の方の資産設計に伴走してきたファイナンシャルプランナーとしては、長く運用の力を借りるために重要なことは、金額の多さではなく、資金のリスク許容度に合った運用計画にあると考えます。
数年単位の“元本割れ”に耐えられるか
資金のリスク許容度を超えた運用を行うと、相場が下落したとき、結果的に現金化してしまい、元本割れの可能性が高まります。NISAで投資を行う以上、損切りしては税金面でのメリットは全くありません。NISAのメリットを活かすためにも、できる限り避けたい状況です。
以下はオルカンを想定して行った運用シミュレーション結果をまとめたものです。月10万円のつみたてを想定しています。
ここ10年の状態を想定したものは、一段目の結果です。つまり、最悪のケースでは元本割れが2年10カ月つづきます。悪いケースでも、1年3カ月元本割れの状態に耐えなければいけないという結果になりました(図表2参照)。
一方、ここ数年のようないい相場が続くと楽観的に想定した結果は、図表の2段目の結果です。悪いケースで4カ月・最悪のケースでも元本割れ期間は9カ月と、1年を待たずして終わる結果となりました。想定するリスクのたった2%の差が、最悪のケースでは2年もの差につながっています。
また、参考として、過去20年を振り返った状態を想定したシミュレーションも実施しました。結果は一番下です。悪いケースでも3年11カ月、最悪のケースでは8年以上、元本割れに耐えなければいけないという結果となりました。なお、今回のシミュレーションでは積立額を月10万円としましたが、月積立額が変わっても全体的な傾向に大きな違いはありません。