どうすればケチケチせずに資産形成ができるか。6人の子どもを育てるFPの橋本絵美さんは「必要な額が貯まっていく先取り貯蓄の仕組みさえ整えれば、あとは自由にお金を使っていい」という――。

「お金が使えない症候群」の正体

資産形成を頑張っていると、貯めても貯めても不安でお金を使うことができなくなってしまうことがあります。必要なものであってもすんなり買えず、欲しいものやしたいことがあってもお金を払うことに罪悪感を感じてしまうのは、いわゆる“お金が使えない症候群”の特徴です。

本来はお金を貯めて経済的に自由になることを目指していたはずが、逆に不自由になってしまっているような状況です。今回はいくら貯めても不安が拭えない“お金が使えない症候群”になってしまう原因と、安心してお金を使える資産形成術についてお話しします。

資産形成を始めて100万円、500万円、1000万円と順調に資産が増えていき、5000万円に到達したらどのように感じるでしょうか。5000万円というと準富裕層に入ります。きっと贅沢な暮らしができるんだろうなぁと思うかもしれませんが、資産が5000万円あっても不安でお金が使えないという人もいます。何もないところから貯蓄を始め、資産は増えているので、安心してお金を使ってもいいはずなのに、貯めても貯めても不安でお金が使えないのはなぜでしょうか。それにはいくつかの原因が考えられます。

成功した投資の戦略
写真=iStock.com/tadamichi
まず、大切なのは、人生設計。そのためにいくら必要かがわからないと、貯めても貯めても満足できなくなる。(※写真はイメージです)

将来の人生設計ができていない

いくら貯めても不安になってしまう理由の一つは将来の人生設計ができていない、またそれを金額ベースに落とし込めていないことにあります。

人生の三大資金は教育資金、住宅資金、老後資金と言われますが、いくらかかるかは人それぞれです。子どもは何人欲しいのか、人数によっても異なりますし、中学から私立に行かせるか、高校から私立に行かせるか、進路によっても金額は全く異なります。住宅資金についても住むエリア、広さによって家賃や購入価格に大きな差が出ます。

老後資金については老後2000万円問題という言葉もありましたが、一律ではありません。何にいくらかけたいか、価値観は人それぞれ異なります。自分の人生設計ができていないと、いくら必要かがわからない、ゴールのないレースをすることになります。そのため、貯めても貯めても満足することができなくなってしまうのです。