「ばけばけ」でヘブンが異様なほど大切にする写真
NHK連続テレビ小説「ばけばけ」の視聴者は、レフカダ・ヘブン(トミー・バストゥ)と、その女中になった松野トキ(髙石あかり)が、いずれ結ばれて夫婦になることを知っている。だが、それにしては、ヘブンが妙なほど大切にしている女性がいることが、気になるのではないだろうか。写真立てに入れられた写真が、いつも文机の上に置かれている女性である。
第9週「スキップ、ト、ウグイス」(11月24日~28日放送)では、トキと錦織友一(吉沢亮)に薦められた松江の城山稲荷神社を参詣するなどして、ヘブンは松江、そして日本への関心をさらにかき立てられていった。しかし、「松江、本当におもしろくて、すばらしい街。いつか君と歩きたい」と思いを語りかける相手は、やはり写真の女性だった。
第8週「クビノ、カワ、イチマイ」(11月17日~21日放送)でも、同様のこだわりは印象的に描かれた。ビールについての知識がないトキが、瓶を振って中身を吹き出させてしまったとき、ヘブンが必死に守ったのがこの写真だった。
ヘブンのことをもっと知りたいといって錦織や教え子らが訪ねてきたときもそうだった。ヘブンが自分についてのクイズを次々と出し、正解できない錦織は「それ(写真の女性)を問題にしてもらえませんか。その方が奥様かご姉妹かそれとも」と要求したが、ヘブンはあきらかに戸惑った。そこでトキが「このお写真のことは、伺わないほうがいいかと」と助け船を出したのだ。
ビールがかからないように必死に守るヘブンを見て、よほど大事な人だと感じたからだが、トキはこの配慮を通じて、ヘブンの信頼を勝ち取った。