「ふりがな登録」の目的は、行政の効率化

では氏名のふりがなの戸籍への登録の話にうつります。これはひとえに行政の効率化のために行われたものです。

2007年のこと、当時の社会保険庁のずさんな業務のため、何千万人もの年金の記録が不明になるという、いわゆる「消えた年金問題」が起きました。

また2020年に、新型コロナの感染拡大で10万円の給付金が支給された際、全国の役所で大混乱が起きました。

こうしたことの原因のひとつに、私たちの氏名の読み方が公式に決まっておらず、個人の特定や照合がしにくいことがありました。

このままでは日本社会が機能不全に陥ってしまうというので、公共機関、金融機関、電話会社、病院などの間で情報のやりとりをしやすくするため、氏名の読み方も一つに確定し、公証することになったのです。

そこで同じ2020年の末には「デジタル・ガバメント実行計画」が作られ、戸籍における読み仮名の法制化が決められました。

翌2021年に戸籍法改正のための法制審議会がスタートします。会議が重ねられて、2023年になって改正戸籍法が公布され、そして2025年の5月に施行されたわけです。

ふりがなの戸籍への登録はこうした流れによるものです。キラキラネームは関係ありません。それはマイナカードの普及と連動したものです。

ですから私たちにのしかかる課題は、人に読めない名前をつけられるかどうかではなく、セキュリティなのです。多くの個人情報とヒモづけされたマイナカードをもち歩くことで、紛失、盗難、詐欺などに対する厳重な注意が必要になったのです。

「キラキラネーム規制」という誤解のワケ

ところで改正された戸籍法では、「氏名の読み方は一般に認められているものでなければならない」という一文が加えられ、そのためキラキラネームが規制されるかのような誤解が広まりました。

ではこの一文はいったい何のために書かれ、そしてどういう意味なのでしょうか? じつはそれは誰にもわからず、明確な説明がどこにもないのです。まさに謎なのです。

まずこの規定は適用範囲が決められていませんので、何となく私たち全国民の氏名が対象になってしまうのです。それは奇妙な話です。

私たちがふだん使っている名字、そして名前(実在名前と呼ぶことにします)、また新たにつけられる子供の名前(新規名前と呼ぶことにします)の3つは、はっきり区別しなければならないものです。

氏名の「ふりがな」の原則
筆者作成

名字はもちろん先祖から伝えられ、子孫も使い続けるもので、その読み方に規定を作って審査するなどもってのほかです。