心身ともに悲鳴をあげている

精神的なストレスによって起こる症状には意味や機能があります。不登校に伴うさまざまな症状は、心身の不調なのですが、「本人を守るために出ている症状」という面もあります。登校することがあまりにも苦しく、登校を続けると心身が壊れてしまいそうなため、体の症状を繰り出すことで、本人を守ろうとしているわけです。

一方、精神的なしんどさがそのまま精神症状として現れ、全く元気がないとか、感情が不安定とかで、登校が無理だと周囲の大人が感じるようになれば、体の症状の役割は主役から脇役になっていきます。

そういう意味で、体の症状も精神症状も、本人が相当に追い詰められていることを示しています。体の症状は「体が悲鳴をあげている」ことを示しています。そして、精神症状は「心があげている悲鳴」そのものです。

パジャマ姿でベッドで寝ている少年
写真=iStock.com/LeManna
※写真はイメージです

我慢強い子こそ不登校に…

不登校の子の親御さんが知りたいのは、学校に行けない理由であり、どうしたら登校できるのかです。ですが、それは本人もわからないことが多く、気持ちの苦しさを言葉で直接教えてくれることはなかなかありません。これが子どもの精神科では重要であり、厄介でもある点です。

村上伸治『発達障害も愛着障害もこじらせない もつれをほどくアプローチ』(日本評論社)
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「不登校の子は我慢が足りないのだ」という人が時にいますが、それは違います。不登校の子はみな「我慢強い子」です。我慢しない子、つまり文句言いの子であれば、気持ちを言葉にするのが比較的上手なので、限界に達するより前に文句を言い始めます。すると、親も問題に気づくし、いきなり不登校とはなりにくいです。

ですが、我慢強い子は何が苦しいのか分からぬままひたすら我慢を続けます。そして、限界を超えると体の症状や不登校が始まります。

不登校の子が後に元気になった頃に、「あの頃、学校に行けないのはなぜだったと思う?」と尋ねても、「今でもよくわからない」と答える子がほとんどです。不登校になってもよいことがあるわけではないことは本人もよく分かっており、「学校に行っておけばよかった」と述べる子も時にいます。ですが、「あの頃って、頑張れば行けたと思う?」と尋ねると、「理由はよく分からないけど、あの時は無理だった」とほとんどの子が答えます。