ところが現実には、TOEICのスコアと役職や年収は、大きく関係している。図3を見てほしい。TOEIC730以上の人の割合は、一般社員では23.5%なのに対し、取締役・執行役員では47.4%、会長・社長も45.5%にのぼる。

「TOEICで測れるのは英語力だけではありません。仕事の実務能力も反映されます」と説くのは安河内氏だ。「TOEICで高スコアを取るには、ある程度の期間集中して勉強する『頑張る力』が必要。また試験当日も、短時間に大量の設問を解くための集中力、要領のよさ、事務処理能力が求められます。これらは仕事の能力に直結します」

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図3・4

山崎氏も同意見だ。「730は、勉強さえすれば何とかなるレベル。その程度の努力くらいはできないと、役員にはなれないということでしょうね」。

年収とTOEICスコアの関係も興味深い。年収400万円以上については、年収が高いほどTOEICスコアも高いという結果が出た(図4)。年収1000万以上の人については、46.9%と半数近くが730以上の高得点者だ。

しかし400万円未満については、TOEIC730以上が37.6%と高い。詳細を見てみると、400万円未満の高得点者は、半数が30代となっている。

「若い人は、危機感を持って一生懸命英語を勉強している人が多い。『TOEICスコアは高いが、まだ給与は低い』という、若い世代が一定数いるのではないか」(山崎氏)。このカテゴリーは「高年収予備軍」と呼べそうだ。