優秀なビジネスマンは電話を使うとき、どんなことを意識しているのか。大手広告代理店で管理職をつとめる後田良輔さんは「私が知っているVIPは電話を切るとき、不通音が聞こえたのを確認してから、電話を切る。こうした細かい心遣いは相手だけでなく社内の評判もあげる」という――。

※本稿は、後田良輔『今こそ使える昭和の仕事術 ビジネスマン30年生の経験がたった3分で身につく』(かんき出版)の一部を再編集したものです。

電話の受話器を持つ人の手元
写真=iStock.com/BrianAJackson
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なぜいまアナログな仕事術が必要なのか

多くの若手ビジネスパーソンは、デジタルツールを使いこなす一方、逆にアナログコミュニケーションを苦手としています。それは、「デジタルのみが進化して対人場面に慣れていない(怖い)」「そもそもコミュニケーション方法を教えられたことがない」ことが大きいでしょう。

アナログコミュニケーションは、現代において完全に不必要になったわけではありません。にもかかわらず、今は誰も教えなくなりました。

なぜならパワハラ・セクハラなどコンプライアンスが重視される時代になったからです。

「人に叱られなくなったら終わりだ」なんて昔から言われていた教えはもはや死語です。

あなたの上司や先輩は「あなたのミスや失敗を指摘しアドバイスすると、パワハラと言われるかもしれない。だったら言わないでおこう」と考えています。

また、現代の若者の3人に1人が、「現在の職場がゆるい」「このまま所属する会社の仕事をしていても成長できない」と考え、2人に1人が「自分は別の会社や部署で通用しなくなるのではないか」と心配している時代です(リクルートワークス研究所2022年調べ)。

AIが絶対に習得できないスキル

そんななかで、昭和のアナログな仕事術がとても重要になりました。

この技術を身につければAIがどんなに進化しても怖くはありません。なぜならAIは、最適化は得意ですが、気づかうことは苦手だからです。

昭和の仕事術は、令和の若手社員にとっては、最初はちょっと違和感があるかもしれません。

ですが「こうしたら喜んでもらえるのでは?」「お互いを思いやるにはどうすれば良いのだろう?」と考えて行動すれば、理想とする仲間が増え、成果もどんどん出始めます。

昭和の仕事術は簡単なものばかりです。しかしその極意はまるでアートと言ってよいほど奥が深い。高級ホテルのサービスやホスピタリティの上位概念とも言える「デキる人・一流の人だけが知っている昭和の仕事術」を、ぜひあなたにも身につけていただきたいと思っています。

本稿では、1周回って今こそ使える「昭和の仕事術」の一部をお伝えしましょう。