「日本一の下足番になってみろ」

2023年、WBC(ワールドベースボールクラシック)で世界一となった日本野球の特徴は「つなぐ野球」と言われました。自分が自分がと個人が前に出るのではなく、チームの勝利のために、今、何をすべきなのかに個々が注力する。たとえ自分が犠牲になっても次の人のために貢献するひたむきな選手の姿に、胸を打たれた人も多いと思います。

私たちのビジネスにも、このチームのために貢献する姿勢が必要です。

たとえば、毎日使うコピー機の用紙や社用車ガソリン補充を次の人が困らないように手配する。会議後に部屋をきれいに掃除する。レストランでランチをしたあと椅子を元に戻してから立ち去るなど、誰が見ている訳でもないのに次の人のために行動している人がいます。そんな人の所作は美しく、またその陰の行動に皆、実は気づき感謝しています。

「世の中は駕籠に乗る人、担ぐ人、そのまた草履ぞうりを作る人で成り立つ」
By田中角栄


「日本一の下足番げそくばんになってみろ。そうしたら誰も君を下足番にしておかぬ」
By小林一三

現代日本を作ったVIPもこのように陰の活躍が重要と言っています。

誰かがやった方が良いことは、あなたがやるべきことです。人に陰ながら評価されることもありますが、何より自分の気持ちが清々しくなりますのでやらない手はありません。

人にしてもらった親切を覚えておく

「仕事を手伝ってあげたのに、自分一人で頑張りましたと上司に報告された」
「いつも甘えてくるのに、こちらが困ったときは助けてくれない」

人が何かをしてくれるのを当たり前と思い、自分中心で考える人がいます。そんな人は不義理な人と周囲に思われ、本人が気づかないうちに嫌われていきます。

逆にいただいた親切をきちんと覚えておき、感謝の気持ちをお返しする人は信用をえることができます。

報恩ほうおん」という仏教用語があるように、恩に感謝し、それに報いる恩の循環は、あなたはもちろん周囲も幸せにしてくれます。

そのことを知っているVIPは、

「親切をいただいたら、それを忘れないようにノートにメモ書きする」
「『○○してくれてありがとうございます』と親切を具体化してお礼を言う」

などの恩を忘れない・お返しする行為を意識的に行い、みんなでほっこりしています。

後田良輔『今こそ使える昭和の仕事術 ビジネスマン30年生の経験がたった3分で身につく』(かんき出版)
後田良輔『今こそ使える昭和の仕事術 ビジネスマン30年生の経験がたった3分で身につく』(かんき出版)

あなたの誕生日を覚えている人に親近感を抱いたり、親の命日にひと言声をかけてくれる人に有難さを感じるのが、人の心と言うものです。

いただいた親切は忘れると損しかありませんが、覚えてお返しすると得ばかりが返ってくる魔法のような効果があります。

以上のように、相手を大切に思う気持ちを「行動」や「言葉」という形にして、心地良さを届けることが「気くばり」の基本です。

自分も相手も気持ちよく、スムーズに仕事ができるようになるため、結果的にタイパの良さにつながります。ぜひ、取り入れてみてください。

【関連記事】
目上の人間に平気で「うん、うん」と相槌を打つ…謎だらけのZ世代コミュニケーションの深層心理
「ちょっとお時間いいですか」と言ってはいけない…仕事のできる人が職場で使う「スマートな相談」のコツ
「定刻の5分前」では100点とはいえない…日本一のヘッドハンターが教える「面接会場に到着すべき正しい時間」
訪問先で「天気の話」をする人は仕事ができない…リクルート全国1位営業が使う「ビジネス雑談」のルール
なぜ孫正義社長は「すぐ電話をかけてくる」のか…仕事がデキる人がメールより電話を多用する本当の理由