移動販売の売れ残りは実店舗の見切り品販売へ

コープさっぽろでは、店舗販売、宅配事業のトドック以外の事業も展開しています。移動販売の「おまかせ便カケル」は、96台(1店舗1~2台)の移動販売車両を使って、各店舗を拠点に週5日、週1~2回で運行しています。

角井亮一『最先端の物流戦略』(PHPビジネス新書)
角井亮一『最先端の物流戦略』(PHPビジネス新書)

約1000商品を移動販売車に積み込み、1コースあたりの停留カ所数は15~30カ所(それぞれ10分程度の滞在)、各コース週1~2回、同じコースを同じ時間に回ります。遅くとも午前11時までには出発し午後5時頃を目途に帰店。

1台当たり平均供給9万円強(客単価2500円×40名前後)ですが、売れ残りの商品があっても午後5時に帰店すれば、店舗での見切り品販売にも間にあいますから、移動販売での売れ残り=商品廃棄とはならない、というのも、よく考えられた仕組みだと思います。

この移動販売は、札幌市内でもテスト運行を実施。都市部でも買い物困難な地域があり、思った以上にニーズがあることもわかり、7台、21コースで本格運行もスタートしています。

「打倒」だったアマゾンと連携しネットスーパーを開始

さらに地域との関わりある事業としては、「栄養士がつくる献立を用意できる民間業者に学校給食を委託することが可能」というスクールランチ制度に基づき、2021年9月から、道内6カ所の自社工場でつくった料理を週1~6回届けるという夕食宅配サービス(年間188万食の利用)での実績を生かしたスクールランチ事業を受託しています。

2023年10月、北海道内で複数の食品スーパー企業を運営するアークスグループとアマゾンが連携し、最短2時間での配送を可能にするネットスーパーを運営していくことを発表しました。

アマゾン進出による危機感を感じ取ってこの10年近くの間、物流を磨きあげてきたコープさっぽろ。このアークスとアマゾンの連携をどういう立ち位置から見ていくことになるのでしょうか。

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