コープさっぽろの戸別宅配サービス「トドック」が好調だ。物流コンサルタントの角井亮一さんは「生協はアマゾン進出を見越して物流センターやロボットなどへの投資を進めてきた。その結果、どの地域でも1時間圏内かつ低コストで配達できる体制を構築している」という――。

※本稿は、角井亮一『最先端の物流戦略』(PHPビジネス新書)の一部を再編集したものです。

トドック車両
写真提供=コープさっぽろ
トドックの車両

道民の生活に欠かせない「トドック」

コープさっぽろは、人口減少がいち早く進む北海道において、“打倒アマゾン”を掲げて、先行的に物流基盤を築き、利用を大きく伸ばしている生協です。

1965年7月に設立され、現在、従業員数は約1万5000名(2023年3月20日現在、正規職員2464名、契約職員2179名、パート1万16名)。

組合員数は約200万人、仮に組合員数をそのまま世帯数に置き換えたら、北海道内の約80%の世帯がコープさっぽろを利用していることになります(道内の世帯数は約247万世帯)。しかも、現在も組合員数は年間5万人ペースで増えていると言いますから、ますます、北海道民の生活に切っても切れない存在になってきています。

売上高(注)は3140億円(2022年度)。そのうち、店舗事業による店舗供給高が1912億円、宅配システム「トドック」による宅配供給高が1119億円あります。店舗供給高は生協内で最大、宅配はコープみらい、ユーコープ、コープこうべに次ぐ規模になっています。

(注)生協は、厚労省管轄ではないため、会社が持てない。正確には「総事業高」だが、馴染みがない表現のため売上高とする。

後発事業ながら今では6軒に1軒が利用

売上高の6割以上を占める店舗事業は、20年のコロナ感染拡大で売上高が大きく伸長し、それ以降2年間は横ばい、電気代の大きな値上げ影響もあり、21年からは剰余では後退しました。2023年は103.5%と復調しています。AIによる自動発注やセミセルフレジの導入により生産性アップを図りつつ、今後3~5年をかけて、年間2~3店舗のスクラップ&ビルドを進めていく計画です。

その一方で、良品計画の地域コミュニティセンター構想(食品スーパーに隣接して無印良品の店舗を出店していく)に呼応するかたちで、無印良品との隣接店舗を新規出店(やまはな店など4店舗を出店済み)し、トドックでも商品提供を開始するなど、新たな協業にも力を入れ始めました。

コープさっぽろの宅配事業は、店舗運営をスタートさせた1965年から15年以上経過して始まった「後発事業」です。

そして2006年、宅配システム「トドック」に名称変更しました。

「トドック」は導入以来、供給高と登録人数は右肩上がりに推移しており、北海道の総世帯の6軒に1軒に相当する、約46万世帯から利用されています。