PANA=写真

ローソン社長 新浪剛史(にいなみ・たけし)
1959年生まれ。慶應義塾大学卒。81年三菱商事入社。同社ローソンプロジェクト統括室長兼外食事業室長などを経て、2002年ローソン代表取締役執行役員。05年代表取締役社長CEO。


 

国内で1万店強を展開する大手コンビニエンスストア、ローソンを率いる新浪剛史社長(53歳)。野菜などの生鮮食品や採算性の高いプライベートブランド商品の拡充に力を入れ、男性中心だった顧客層を女性や高齢者に広げ業績を伸ばす。2012年度上期の連結決算は、純利益が前年比約2倍の178億円と過去最高を更新した。海外進出にも積極的で、インドやミャンマーなどへの出店も検討中だ。

新浪氏は1981年に三菱商事に入社、米ハーバード・ビジネススクールでMBAも取得した“エリート商社マン”だ。ローソンの親会社だったダイエーが経営不振に陥ったため株式を手放し、三菱商事が筆頭株主となったことから2002年に43歳でローソンの社長に転じた。オーナー系以外では東証一部上場企業で40代前半の社長が誕生するのは珍しく、当時は異例の抜擢人事として耳目を集めた。新浪氏は、それまでの放漫な出店政策を修正し、不採算店や人員の削減に踏み切って収益性を向上。商品改革も進め、おにぎりなどの主要品でブランド力を高めて、ローソンを再び成長軌道に乗せた。

新浪氏は経済同友会で副代表幹事も務め、子育てや雇用、農業など多方面での論客としても知られる。政治への発言も多く、消費増税は歓迎で、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への早期参加を支持する立場だ。政府が新たなエネルギー戦略に掲げた30年代の原発ゼロ目標については「使用済み燃料処理などをめぐり原子力関連の人材が育たない環境は問題がある。原発稼働のための努力は最大限やるべき」と批判する。数年前から政治家転身説もある新浪氏。衆議院選挙も間近に迫り、その去就に注目が集まる。次期社長には元ファーストリテイリング社長の玉塚元一副社長が有力とされている。

(PANA=写真)
【関連記事】
最高益ラッシュのコンビニに押し寄せる再編の波
480万人 -小型スーパーVSコンビニ「買い物難民」を掴むのは?
ローソン流「ダイバーシティ採用」
店を巡って知った「所説之心」 -ローソン社長・CEO 新浪剛史【1】
刺さるビジネス文「上司がすべきたったひとつのこと」