その8:「トレンド」は過大評価されがちだ。最新ホットトレンドに飛びついてはならない

ヘルスケアや教育関連のソフトウェアのようなトレンドは過大評価されているとティールは考える。「ビッグデータ」とか「クラウド」といったバズワードもそうだ。こうしたバズワードまみれの投資話を聞いたらさっさと逃げろと彼は忠告する。IT業界用語は、ポーカーのブラフ(はったり)と同じだ。こうした耳ざわりのいい言葉で飾りたてている企業にろくなものはないというのがティールの持論である。

その9:過去に執着するな。なぜ失敗したのかすばやく分析し、あとは前を見て、方向を修正していこう

シリコンバレーでは人は失敗によって賢くなると言われている。だがティールによれば失敗は人間をひどく損なう。特に、膨大なエネルギーを注いで新しいことにとりくんだのに、うまくいかなかった場合は。失敗からは新しいスタートアップを興す教訓を引き出すことはできない。彼は失敗の原因として「人選がまずかった」「アイディアが悪かった」「タイミングを誤った」「独占の可能性がなかった」「製品が狙ったように機能しなかった」の5つをあげている。

その10:成功に通じる秘密の道を探そう。その他大勢がすることを真似してはいけない

「誰もが小さなドアから外に出ようとひしめき合っているが、きみのそばには、誰も通らない秘密の近道があります。その近道を探し当てて、人より先に歩みだそう」

スタートアップがすべきことはなんだろう? ティールは端的にこう答えている。

「当たり前だと思っていたことを疑い、新しい視点で徹底的に考え直すのです」

トーマス・ラッポルト(Thomas Rappold)
起業家、投資家、ジャーナリスト
1971年ドイツ生まれ。世界有数の保険会社アリアンツにてオンライン金融ポータルの立ち上げに携わったのち、複数のインターネット企業の創業者となる。シリコンバレー通として知られ、同地でさまざまなスタートアップに投資している。シリコンバレーの金融およびテクノロジーに関する専門家として、ドイツのニュース専門チャンネルn-tvおよびN24などで活躍中。他の著書に『Silicon Valley Investing』がある。
(撮影(ピーター・ティール)=Manuel Braun)
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