その3:きみの人生と会社に、自分と結びつきのある人を的確に配置しよう。互いに補い合える相手と組もう
企業組織について、ティールには強いこだわりがある。創業者と社員は互いに調和のとれた関係で、同じ目標を追わなければならない。そこで彼は、投資先候補の企業に複数の創業者がいる場合、どうやって知り合ったのかと尋ねる。だめな答えは、たとえばこうだ。「2人とも起業を夢見ていたんで、会社をはじめることにしたんです」。ティールの言葉を借りれば、私たちはラスベガスのスロットマシンの前で知り合った相手と、行き当たりばったりで結婚すべきではない。創業者どうしが長年の知り合いで、どんなビジネスモデルにするかとことん意見を出し合い、それぞれの得意分野で補完し合える能力があるのが好ましい。
その4:独占をめざそう。競争からはさっさと身を引き、他社との競合を避けよう
創業者が独占をめざすべきとは、競合他社と明確に差別化でき、競争に陥らない唯一無二の企業をつくるということだ。資本主義と競争は同義語だと考えられているが、ティールにとって両者はむしろ水と油の関係にある。
その5:フェイク起業家になるな
人生で何をしたいかと問われて、「起業家になりたい」と答えているようではだめだ。「カネ持ちになりたい」とか「有名になりたい」と答えるのと同じで、そんなビジョンでは起業は失敗する。投資家としてのティールは、これまでどの企業も政府もとりくまず、解決しようと思わなかった重要課題にとりくんでいる企業と経営者を探すようにしている。
その6:ステータスや評判だけを基準に評価するな。ステータスに惑わされて下した決定は長続きせず、価値がない
ティールはスタンフォード時代と法律事務所時代にこのことを実感した。当時をふりかえると、彼は自分が本当にしたいことよりも、面目や規範を気にしていたのだった。その教訓から彼は「ステータスより中身をとれ」と言うのである。
その7:競争は負け犬がするもの。まわりの人間を倒すことに夢中になってしまうと、もっと価値があるものを求める長期的な視野が失われてしまう
ティールは若い頃から競争を熟知していた。競争からは幸福感も充実感も得られなかった。彼は固い友情と信頼関係を生かしてビジネスを展開した。また起業と投資に際しては、可能なかぎり競争を避け、他に例を見ないビジネスモデルに基づいて行動した。