「時給の高い」大企業の社員は他社では通用しない?

●時給の高い上場企業はどの会社か?

さて、あらためてVorkers調査の「上場企業の時給ランキング」をじっくりみてもらいたい(図表2)。このランキングは、平均年収を(標準労働時間+残業時間)で割って算出しており、上位であるほどコストパフォーマンスがいい企業だと言える。

業種にははっきりした傾向があるとはいえず、時給の高さの「理由」はひとことでは説明できない。しかし、「高い専門性と企画・提案力」、そして「相手を納得させるプレゼン・コミュニケーション力を兼ね備えたプロフェッショナル」が集まる企業であることは確かだろう。

ただし、総合商社(三菱商事、三井物産、伊藤忠商事、住友商事、丸紅など)、製薬(第一三共、ステラス製薬、エーザイ、武田薬品工業など)、石油(国際石油開発帝石など)、海運など社員の年収(時給)がきわめて高い業界は、個々の社員のプロフェッショナル性というよりも、企業体としての総合力で利益を上げている。

▼専門性の高い職種なら、高給での転職も可能

IT系企業でははっきりした実力主義をとることが多いが、こうした大企業では総合力が求められるため、30代までは年収格差があまり生じない年功的な人事制度を持つことが多い。給与レベルがもともと高く、雇用も比較的安定しているが、さらに高い給与をもらうために出世するには、さまざまな職種を経験し、総合力を高めたうえで、はげしい昇進レースを勝ち抜いていく必要がある。

就職するにしろ転職するにしろ、職種のプロフェッショナル性が問われる会社を目指すのか、あるいは総合力重視の会社を選ぶのかは個人の自由だ。

だが、総合力重視の大企業の場合、その会社でつちかってきた経験は、他社ではまったく通用しないというリスクがある。一方、マイナビ調査が転職求人のモデル年収からランキングを算出していたように、専門性の高い職種であれば、高給での転職もやりやすい。

AI時代にどんな激動が起きるかはわからない。将来のキャリアを考えるうえで、こうした事実はおさえておくべきだろう。

<出典>
▼転職情報サイト・マイナビ「2017年版 職種別 モデル年収平均ランキング」
http://tenshoku.mynavi.jp/knowhow/income/ranking/01
▼クチコミ情報サイト・Vorkers「上場企業の時給ランキング2017」
https://www.vorkers.com/hatarakigai/vol_38