とはいえ、弊社でも一朝一夕で、こうした働き方ができるようになったわけではありません。

「P&Gのビジネスの源泉は『人』。みなさんの能力が最大限発揮できるようにしたい」と、何年も言い続け、トップ層から率先して取り組んできたことで、風土が変わってきました。実際、考え方が浸透した後、自宅からビデオ会議に参加することが当たり前になるくらいまで行動を変えるには、かなり時間がかかりました。しかし社内の風土改革はあきらめずに繰り返し言い続けることが大切です。続ければ必ず変わっていきます。

▼P&G式 個人力を最大化する仕組み

[1]月で管理する勤務時間
月の労働時間を満たすなら、早朝出勤や平日代休で時間の調節もOK。このおかげで時短勤務取得者が激減した。

[2]週1度は管理職も在宅勤務
社長や管理職も積極的に週1度の在宅勤務や、日々の残業を短縮。上から実行し、社内への普及を促進している。

[3]オフィス外でも常時つながる
ビデオ会議、チャット、スケジュール管理、離れていてもチーム内で密な連絡が取れるシステムが整っている。

[4]5つの自己課題を年間で設定
常時監視下になくても正当な評価ができるのは、明確な年間課題があるから。随時上司と相談し、達成を目指す。

プロクター・アンド・ギャンブル・ジャパン ヒューマンリソーシズ エキスパート
榎本 千尋
(えのもと・ちひろ)
1996年、P&G入社。99年より人事部門に異動。グローバル社員の給与制度管理・サポート部門などを経て、人事労務制度・規約の管理・運営に従事。
(構成=井上佐保子 撮影=水野浩志)
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