自分を愛することは、人生に奇跡をもたらす
近年、雑誌を見ても、ポッドキャストを聞いても、ソーシャルメディアをスクロールしても、自己愛の重要性について語っている人に出くわす確率が高いでしょう。自分を愛するという概念は、何十年も前からあり、多くの人が自助啓発運動の創始者とみなしているルイーズ・ヘイによってはじめられました。
ルイーズは自ら考案した、アファメーション(肯定的な自己宣言)や視覚化、栄養素クレンジング、心理療法などのプログラムによって、1978年に子宮頸がんを自然治癒させました。その後、彼女は自分自身を愛し、感謝することを学ぶことによって、ほかの人々が自分の人生を改善するのを助けることに人生を捧げました。
自分自身を愛する人が増えれば、与える愛も増え、その結果、世界はよりよい場所になります。ルイーズの言葉を借りれば、「自分を愛することは、人生に奇跡をもたらす」のです。
自己愛が治癒を助ける
近年、ソーシャルメディアのおかげで、自己愛のムーブメントが盛んになっています。
24時間365日、ソーシャルメディアに夢中になっている世界では、友人や知人、有名人の(極めて理想化された)生活を垣間見られるようになりました。
人々は、最悪な日や生活の平凡な部分についてはソーシャルメディアにほとんど投稿しません。その代わりに華やかな休暇や幸せな子どもたち、仕事の節目、出会った魅力的な人々、ボランティア活動など、最も「インスタ映え」する瞬間を共有する傾向があります。
しかし残念ながら、このような完璧な写真がいつまでも続くと、誤った比較や嫉妬、「自分より劣っている」という感情を生む原因になります。ソーシャルメディアの利用が不安やうつ病の症状の一因となっていることは、研究によって次々と示されています(※6)。
このような状況の中、他人と自分を比較する傾向を打ち消す、自己愛のムーブメントが再燃しています。「#selflove」や「#selfcare」のハッシュタグとともに、ストレスを軽減したり幸福感を取り戻すような特別なことをするために時間を割いている人たちが、ソーシャルメディアに投稿した画像を探してみてください。
劇的寛解者たちは、数日間(あるいは数週間)ソーシャルメディアから離れる「ソーシャル・デトックス」や、安らぎと自尊心を取り戻すために数日間、自分だけで過ごす「自己愛のリトリート」に参加したと報告しています。このような行動をとることで、彼らは自己嫌悪やストレスから解放され、自己愛の感情を高めることができました。
最も重要なのは、劇的寛解を果たした人たちは、このような自己愛や価値観の感情につながることが、身体の治癒を助けてくれると考えていることです。
感情を解放するグループワーク
抑圧された感情を解放するためのテクニックのどれもが、すべての人に効くわけではありません。人はそれぞれ、抑圧された感情を解放する独自の方法を見つけます。
たとえば、瞑想やMBSR、タッピングのクラスに参加したり、枕をパンチしたり、ドラムを叩いたりする人もいます。中には、グループでいると感情を解放しやすいという人もいます。メンタルヘルスの改善のために音楽を介したコミュニティを考案する団体も増えています。
ある研究グループは、そのような音楽療法に測定可能な心理的または生理学的な効果があるかどうかについて調べました。
この研究では、参加者は10週間にわたるドラム演奏のグループコースに週1回参加しました。研究者たちは、ほかの社会的活動に毎週1回参加するけれど音楽には参加していない対照群と比較して、このコースがうつ病、不安、社会的回復力の症状を改善できるかどうかを確認したかったのです(※7)。
驚くべきことに、ドラムを演奏したグループでは、わずか6週間で3つの感情指標すべてにおいて著しい改善が見られましたが、対照群には見られませんでした。さらに、その効果は、ドラム演奏のグループコースが終了したあとも3カ月間持続したのです。
研究をさらに進めるために、研究者らは参加者の唾液のサンプルを分析し、グループのドラム演奏コースが身体的な変化をもたらすかどうかを調べました。参加者のコルチゾールとサイトカイン(炎症を抑える免疫細胞のタンパク質)の値を測定したところ、10週間のグループドラム演奏コースのあと、参加者のストレスと炎症の値が大幅に減少したことを発見しました。
これらは両方とも、免疫システムを強化したい人にとってはいいニュースです。心理的、生理的なメリットに加え、この研究では、ドラム演奏がグループの中でおこなわれたため、社会的サポートという治癒要因も組み込まれています。将来の研究で、参加者がグループではなく、マンツーマンのレッスンでドラムを習った場合に、そのようなポジティブな結果を経験するかどうかを見るのは興味深いでしょう。