プランは一般論よりより現実的に

【×BEFORE】
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提案書2

(5)抽象的でこぎれいなカタカナを並べても具体性は伝わってこない。特に、相手の業界が好みそうな表現を使った場合は、議論がよい意味で紛糾せず、コンペで通っても、後々トラブルを招く恐れがあるので要注意だ。

(6)具体性に欠けるプロセスをプランに並べても、見る側に「これならできる」と確信させるような決定的要素にはならない。

(7)結論に向かうプロセスだけを書いても実行性に欠ける。「実務の結論はクライアント側に選ばせる」という主体性のない印象を与えかねない。

(8)同じページの冒頭に書いたタイトルと同じことを言い換えても、空いたスペースを埋めただけのような印象になるだけ。

【○AFTER】

(6)相手が好みそうな言葉はあえて避ける――どのようにでも解釈できる概念度の高い言葉は避け、できるだけ具体性を持った表現を使うことを心がけたい。業界的にクライアントが好みそうな表現はあえて避けることで、解決策がよりはっきり伝わるようにする。流行しているだけのフレーズや、具体性のないカタカナ言葉の羅列はクライアントを惑わせるだけで、本質的な解決策にはつながらない。

(7)プランは一般論よりより現実的に――問題解決のために誘致したいテナントや、コラボレーションしたい企業名、媒体名などの具体的な名前をしっかり盛り込んでおく。そうすることで見た側も次のステップに進みやすく、現実的な戦略もイメージしやすくなる。

(8)次にどう攻めるか明確にする――大きな目標を掲げるほど、実現は難しくなる。誰(どの部門)が、何を、どの順番で、いつまでにやらないといけないか、可能な限り具体的に書くことで実現へのステップを示す。次にどう攻めるべきかが明確になっていないと相手に現実感を持たせることができず、議論も巻き起こらない。

前マッキンゼー・アンド・カンパニー シニアパートナー 山梨広一
1954年生まれ。東京大学卒業後、スタンフォード大学でMBA取得。富士写真フイルムを経て、90年にマッキンゼー入社。消費財・小売りグループのリーダー。著書に『面白がる思考』など。
(木下明子=構成 アーウィン=撮影 相田広美=事例作成)
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