自分の消費で社会をよくしよう、とまでは思わない
【島本さん】私は気にしたことがないです。企業がSDGsに取り組んでいても自分につながらないと言うか、私の消費で社会をよくしようとまでは思えないいんですよね。お金もないし、安いとか見た目がかわいいとかで選んじゃう。
【遠山くん】僕も買い物の時にSDGsは考えないです。「このブランドはちょっと高いけどSDGsに取り組んでいます」って言われても、社会のメリットと自分のメリットがつながらない。商品に関係ない取り組みをするより、もっと安くしてほしいって思います。
【原田】SDGsの取り組みを若者の消費に結びつけるのは、ハードルが高いってことがよくわかったよ(笑)。どうすれば結びつくのかはまた後で聞くとして、先に採用面に関する意見を教えてほしい。就活でSDGsを意識した人、意識するつもりの人はいる?
就活で心に響いた企業、響かなかった企業
【寺田くん】就活では、SDGsの取り組み事例そのものよりも、取り組んでいるという点に先進性を感じました。そういう企業なら働き方も先進的なんじゃないかと思いましたね。ただ、「ボランティアで砂漠に木を植えています」とか、事業内容と関係ない取り組みを紹介されても……。ボランティアのために社会人になるわけじゃないから、入社したくはならないです。
【島本さん】私も就活ではSDGsの話がよく出てきました。でも、「大企業は皆やってるんだな」って思ったぐらいで、内容はよく覚えていません。社会貢献したい子はそれで入社を決めるのかもしれないけど、私には響かなかった。それよりも残業の有無や給料、勤務地などで企業を選んでいました。
【原田】今の首都圏の大学生が最も求めている「ワークライフバランス」と「給料」と「東京勤務」にSDGsは絶対に勝てないわけだね。
【遠山くん】僕はSDGsにはそれほど興味はないですが、しっかり取り組んでいる企業には優等生のイメージがあります。環境などに配慮している企業は、働き方にも配慮してくれそう。いい社会にしていこうって考えているはずだから、社員に残業させないような風土もあるんじゃないかな。
【原田】環境に優しい企業はホワイト企業なイメージがつくわけだ。いずれにせよ、基本的には事業と結びついていない取り組みは、イメージアップにはなっても入社の決め手にはならないということだね。逆に事業と直結していれば、自分ごととして捉えやすいから企業選びの基準にもなるのかもしれないね。
【鈴木さん】説明の仕方も大事かもしれないです。サステナビリティを掲げているユニリーバでは、企業説明会で目標をどう達成していくかを細かくかみ砕いて説明してくれました。私たちからすれば、「サステナブルな取り組みをしていますよ」だけじゃよくわからない。そこをこちらの知識量に合わせて話してくれたので、自分のこととして捉えやすかったです。
【寺田くん】SDGsって、本来は全員にとって自分ごとの問題なんですよね。途上国支援だけじゃなく、消費やジェンダーなど日本の若者にとって身近な問題もたくさん含まれている。僕は学部で専門的に学んだのでそう思うようになりましたが、同世代の子は意外と知らないみたいで。「地球の反対側の問題ではなくて自分たちの問題だよ」って説明すると、「そうか、知らなかった」って言われることが多いです。