類を見ない文武両道の基盤になっているもの
長女・勝麗は大学卒業後にデジタルメディアのプラットフォームを提供する会社を起業、その事業内容が評価されて米版Forbesの2022年5月号で『30歳以下の30人』に選出された。現在はデジタル決済プラットフォームを運営するインドネシアのスタートアップ企業Xenditの要職にあり、世界中を飛び回っている。
長男・神優は、企業のデータ形成やデータ利用を支援するアメリカのIT企業Quantiumでデータアナリストを担当し、やはり世界各地が仕事場になっている。
プロテニス選手の次男・凛輝は言わずもがな、各大陸を股にかけて転戦する毎日だ。昨年のシングルス最終世界ランキングは73位。100位以内に9人いたオーストラリア人選手の中で、23歳の凛輝は最年少だった。今季は課題であるサーブの向上に取り組んでおり、主戦場のシングルスで飛躍すべく精進を続けている。
ちなみに母校ノースカロライナ大には、現役を終えてからいつでも戻れるようになっているという。
我が子を信じた絶妙な距離感の放任主義
土方氏の言葉からおわかりの通り、彼ら夫婦の子育てに独自の体系化されたメソッドや精細な決まり事、あるいは親から子への四六時中の濃密な働きかけなどがあったわけではない。あったのは大胆な野心と、少しばかりの環境作りと、我が子を信じた絶妙な距離感の放任主義だ。
また、子供たちが持っていた能力の開花にオーストラリアのお国柄や教育環境が手助けとなった部分は少なからずあるが、オーストラリアの学校にさえ通わせれば、誰でも勝麗、神優、凛輝のようになれるわけではない。
3人の類を見ない文武両道の基盤になっているのはあくまでも、彼らの内にある主体性と克己心なのである。
その主体性と克己心がいかなるアスリートを生み出したのか確かめたい方は、8月開幕の全米オープンや9月のジャパンオープンでの、リンキー・ヒジカタの戦いぶりを追ってみてはいかがだろうか。


