マイナス言葉が飛び交うチームにいたら……
子供がスポーツを「辞めたい」と言い出す理由は、さまざまです。
・周りの子に比べて、なかなか上達しない
・指導者が威圧的で、恐怖心がある
・友人関係がうまくいっていない……
子供から「辞めたい」と言われると、親はあれこれ悩みますが、まず知ってほしいのは、前回もお伝えしたように、私たちは過去の記憶に対して感情が貼りついているということ。過去に頑張って褒められた、いい成績をとってうれしかったというプラスの記憶に対してはプラスの感情が一致している一方、虐待を受けてつらかった、失敗して怒られたといったマイナスの記憶に対しては、マイナスの感情がくっついている。そのバランスによって、人はプラス思考になったり、マイナス思考になったりしますので、マイナス思考の人がよい未来を描こうとしても、なかなか描けません。だからこそまだ経験の少ない幼少期の子供には、たくさんのプラスの記憶と感情を貼りつけてあげる、それが周りの大人の仕事であるということです。
そのことを指導者が理解して、子供にプラスの体験をさせればよいのですが、現実には、そうなっていないところも多い。「何やってんだ」「あいつのほうがうまい」「お前はダメだ」と、マイナス言葉が飛び交う現場も少なくありません。そうすると子供は、委縮してしまい、本来の力も出せないし、なかなか上達もしない。当然、チームとしても勝てません。
そんなチームはすぐにでも離れたほうがいいのか、それともある程度、時間をかけて、子供は自分と向き合ったほうがいいのか……、親としては悩ましいところです。
本質的な楽しさを感じているか
その解決方法は、時と場合によります。
「楽しい」という言葉があります。そのスポーツをしていて、何を楽しいと思うか。それは、スポーツごとに違います。例えば、私の専門の陸上競技では、「競争」と「達成」が楽しさです。誰かと競うことと、自分で決めた目標タイムや記録を達成すること。こういう楽しさを「本質的な楽しさ」といいます。お笑い番組を見て楽しかった、カラオケ行ったら楽しかった、とはちょっと違う。
つまり、負けてばかりのチームにいて、そのスポーツの本質的な楽しさを感じられない場合は、続ければ続けるだけ、本質から遠のいてしまうかもしれません。


