面白くないならチームを変えてもいい

だからこそ、前回の記事で述べた、ゴール設定のための4観点がとても重要です。4観点とは、横軸を私と社会・他者、縦軸を有形と無形として、それぞれ目標を書き込むマトリックスです(図表1)。

【図表1】大谷選手のような野球選手になりたい4観点例

目標が「契約金1000億円」「メジャーリーグ入団」など右上だけなら、単なる目標達成のための努力になってしまう。でも自身の成長や他者との関わりなど、右上以外左上と左下の目標や目的(なんのためにするのか、という理由)があれば、見えにくい成長や成果を実感できます。シュートは決まらなかったけれど、パス回しがうまくいった。試合には出られなかったけれど、今回は応援で一番声を出せた。10分だけ試合に出て、少し自信がついた。子供にとっては特に、達成と成長が大切なんです。

そういったことを子供自身がよく理解して満足できるなら、チームに残って頑張ればいいと思います。しかし、それでは面白くない、成長して勝ちたい、レギュラーにならないと面白くない、という場合には、スクールを変えたり、取り組む内容そのものを変えてみたりしてもいいのではないでしょうか。

親御さんが、これだけ頑張っているのだから、何としても結果を出させてあげたい、結果が出ないなら環境を変えたほうがよいのではないか、と思うのはわかります。しかし、まずは親自身が、目的や目標、努力や成長について、よく理解しておくことが大切だと思います。

家で子供と対話する親
写真=iStock.com/MTStock Studio
※写真はイメージです

子供の自信を育む働きかけを

これまでの日本は、工業化社会で専門家から教わるスキルやノウハウをもとに成果を上げる世界でした。しかし今の情報化社会は、それでは通用しない。情報はもう誰でも手に入れられます。必要なのは、感情コントロールの方法や、やり抜く力、協調性といった非認知能力を自分で育てることです。

そして、これらのベースに必要なのは、自己効力感や自己肯定感といった自信であることは、前回お伝えした通りです。自信が十分にあれば、非認知能力は底上げされます。

原田隆史『中高生のための目標達成ノート』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)
原田隆史『中高生のための目標達成ノート』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)

逆に自信を無くしてしまうとなかなか本番で力が出し切れませんし、そのことがスポーツ以外の場面(例えば勉強や人間関係といったこと)にもマイナスの影響を及ぼしかねません。つまり「元気がなくなる」わけです。

またもう一つ大切なこと、それは、セルフイメージ(私はここまではできる、という自分に対して持っているイメージ)を茶化したり、馬鹿にしたりして妨げようとする人の話は聞かないことです。聞こえてしまうならば、そういった人からは物理的に離れた方が賢明です。

あの大谷翔平選手だって、日本プロ野球界の名だたるOBたちから「二刀流なんて無理や」「うまくいくわけがない」「いずれ怪我する」と山のように言われても、それらの声を聞かずに自分と向き合って目標設定をし、一つひとつ乗り越え、活躍し続けています。自信をセルフで供給するためには、実はそういった「快適に活動できる環境」を意図的に作ることも、とても大切なのです。

親御さんは、お子さんがどんなスポーツを選んだとしても、そしてそのスポーツで勝っても負けても、うまくいってもいかなくても、常に子供の自信を育む働きかけを心がけてほしいですね。