不動産は最も身近な投資とも言える。73歳現役FPの浦上登さんは「私も若い頃に一戸建を売却し、500万円のプラスになった。既に家や土地を持っている人は始めやすいが、不動産投資には注意点がいくつもある」という――。

不動産価値は今後も上がるのか

今回は不動産投資について考えてみたい。

2010年からの15年間で不動産価格は都心のマンションでは2.11倍、南関東の戸建ては1.15倍に上昇している。

問題はこれからもこの上昇基調が続くかどうかだが、都心は上昇もしくは高止まりが続くと思われる。郊外や中古不動産は鈍化するか、小幅で下落することも予想され、二極構造を示す可能性もあると思われる。

理由は次の通り。

1)都心におけるマンション建設用地の供給不足。
2)インフレによる建築費(人件費・資材費)の高騰
3)円安による海外からの投資需要は依然底堅い
4)不動産価格下落の要因は金利引き上げだが、トランプ関税による輸出需要の後退で日銀も金利引き上げをしにくい状況が続くと思われる。

そうした状況を踏まえて、まず、不動産投資の特徴について説明する。

電卓を持つ男性
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買うだけじゃない、不動産投資のやり方

投資にはいくつかの種類があるが、その中でも不動産投資は、株式投資・債券投資などの金融投資、金などの貴金属投資と比べてかなり違う。後者がほぼ金銭の世界で完結するのに対し、不動産投資には、常に不動産という現物資産がついて回り、また、不動産自体の値上がり益というキャピタル・ゲインと、賃料というインカム・ゲインの二つ要素を考えて投資をする必要があるからだ。

それだけでなく、投資の対象である不動産の価値を測る基準が実に様々だ。

立地、用途、床面積の広さ、建物の仕様等、様々な要素を考慮して、対象物件を決める必要がある。

複雑でいろいろ知識が必要な不動産投資だが、ワンルーム投資を始めとして、アパート経営など投資用不動産を購入して、家賃を稼いでいる人も多い。一方で、不動産投資にはプロ並みの知識と経験が要求されるので、生半可な知識で投資をして痛い目を見ている人も多い。その実例については記事の後半で説明したい。

それでは不動産への投資形態はどのようなものがあるか見てみよう。

図表1をご覧いただきたい。ここに挙げた投資の形態は、①現物の直接保有、②上場REITと③の開発・転売(フリップ)だ。

【図表1】不動産投資の代表的な形態とメリット・デメリット