五代目瀬川とはまったく違う性格

だが、「べらぼう」の誰袖は、土山の横にいながら花雲助こと田沼意知に見惚れ、そちらに近づこうとする。

意知は、松前藩の元勘定奉行でいまは藩を離れている湊源左衛門(信太昌之)との密談に熱中していた。湊からは、藩主の松前道廣(えなりかずき)が横暴のかぎりをつくし、藩としても抜け荷(密貿)をしている、という話を聞き出していた。その話を誰袖は、十文字屋の者に盗み聞きをさせていたのだ。