五代目瀬川とはまったく違う性格

そこに、彼女が所属する大文字屋の遣り手の志げ(山村紅葉)が現れて邪魔に入るが、誰袖は軽くいなして、別れ際にも蔦重に「兄さん、身請け、待っておりんすよ!」と言葉を投げかけた。

この飄々とした軽さも、世渡りの上手そうな天然のしなやかさも、男への自然な媚びの売り方も、瀬川にはなかった。むろん、「べらぼう」に登場したほかの女郎にもなかった。あたらしいタイプの花魁が登場だが、じつは、かをりはすでに「べらぼう」に登場していた。振袖新造と呼ばれる女郎の見習い時代を、稲垣来泉が演じていた。