※本稿は、勝間和代『人づきあいはコスパで考えるとうまくいく コミュニケーションはスキルが9割』(Gakken)の一部を再編集したものです。

なぜ人間関係がうまくいかなくなるのか
人間関係でのトラブルやストレスは、それぞれの立場や価値観、能力の違いによって起こります。
だからこそ、自分の考えを軸に状況を俯瞰して捉えながら、相手の立場や気持ちになって考える必要があるのですが、多くの人は自分の狭い価値観や考えに囚われて、相手の価値観や考えを丁寧に聞くことを疎かにしがちです。
また、結論ありきで進めようとすると、お互いの理解が進まず、齟齬が生じてしまい結局うまくいきません。結論を出すことよりも、まずは丁寧に傾聴することを大切にし、相手とのつながりや信頼関係を築いていきましょう。
自分の価値観と相手の価値観を擦り合わせるためには傾聴することが必須です。
しかし、傾聴力というのは、誰もが生まれながらにして持っているわけではありません。
相手の話をただ聞くだけで傾聴になる
傾聴というと、慣れていない人にとっては「相手が話すことにとにかく合わせて、自分は言いたいことも言わずに我慢すること」と捉えがちですが、そうではありません。相手のことを否定せずにちゃんと聞くだけで十分傾聴と言えます。
私たちは、普段から人に話を聞いてもらえていませんし、否定の嵐の中で生きています。そして人は誰もが、他人から干渉はされたくないが、自分の話は十分に聞いてほしいと願っているのです。占い師やカウンセラーが人気なのはそのためです。
特にトラブルを抱えている人は、気の置けない人がいたらすぐに、そのトラブルの内容を話したいものです。ここで大切なのは、「相談がある」と言っていたとしても、相手に対して「解決策を見つけてほしい」とは思っていないということ。
話すことは、手放すこと。
ただただ、そのトラブルについて自分ひとりで抱え込んでいるのがつら過ぎるので、人に打ち明けたい。ただそれだけなのです。