会話が少ない子供ほど鬱になりやすい
現に私が接してきた中でも、家庭内で話している子どもで鬱状態に陥っているケースはきわめて少なく、元気でコミュニケーションも取りやすい子が大半です。もちろん、何かしらの問題を抱えているから当クリニックに来院されているわけですが、元気があればたいていは比較的早めに、脳特性を発揮しながら健やかに生きていく道筋が見つかるのです。
本書では、まず脳特性診断テスト(第1回参照)をしていただいたうえで、各タイプの脳特性と、そこから窺うかがい知れる才能の伸ばし方を解説しています。そこで子どもの脳に眠っている宝物を見つけていただければと思いますが、すべてのタイプに共通して重要なこととして、ぜひ「子どもが家庭内で話しているか」にも意識を向けてみてください。
タイプによっては、学校など家庭の外で盛んにアウトプットしている可能性もありますが、それは差し引いても、家庭内での会話は重要と心得ておいたほうがいいでしょう。
それも「大きな声」で話していることが重要です。大きな声だと発した瞬間に自分自身の耳でも聞くことになります。そのフィードバックにより自己理解や思考が刺激され、そこで形成される自己認知が自信に直結するのです。裏を返すと、発話量が少ない子どもほど鬱になりやすい。それは発話によって自己理解や思考が刺激される機会が少ないために、自己認知が上がりづらく、自信も育ちにくいからと言っていいでしょう。
「安心してたくさん話せる仕組み」を意識的に作る
もし鬱にならなかったとしても、コミュニケーションが非常に取りづらい状態のまま大きくなる可能性が高いので、大人になってから社会生活に支障をきたしかねません。
中学・高校生の子どもは、ただでさえ親から離れていきがちです。それは自立への第一歩であり、成長過程として自然なことです。しかし、だからといって、親子間のコミュニケーションが失われていいわけではありません。いくら自立に向けて歩み始めていようとも、親の態度や対応次第で、子どもの家庭内でのアウトプット量は変わってきます。
今の子どもを見ていて、発話量があまり多くないと感じているのなら、なおのこと「子どもが安心してたくさん話せる仕組み」を、親が意識的に作る必要があるでしょう。
では、どうしたら、そんな仕組みを作ることができるか。それはタイプごとに少しずつ異なります。本書ではいずれのタイプにも「よい声がけ」と「悪い声がけ」を例示してありますが、タイプによって言葉のチョイスが違うだけで、目的は同じです。すべては、親の思いを一方的に押し付けることなく、「子どもが安心してたくさん話せるよう、水を向けるコミュニケーション」を取るためです。
このように、親が子どもの脳特性を知ることで、子どもとの接し方が変わり、すると豊かな家庭内コミュニケーションがある中で子どもの才能が伸びていく。それが本書の目指すところです。ひとりでも多くのお子さん、ひとりでも多くの親御さんが悩みから解放され、親子ともに幸せになる助けとなることを願っています。



