子どもが不登校になったらどうすればいいのか。公認心理師の柳川由美子さんは「親は『学校で何かあった違いない』と考えがちだが、本当の要因は別のところにあるケースが多い。根本にあるのは『心の状態の変化』だ」という――。
学校の教室
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名門校に合格、高1までは順調だったが…

「学校は好きとは言えないけれど、嫌いっていうほどでもないです」

母子でカウンセリングに訪れた高校2年の女子Aさんは、学校生活について尋ねるとこう答えました。

高2の4月中旬から「よく眠れない」と訴えるようになり、徐々に学校を休みがちに。ゴールデンウィーク明けからは登校できる日が週4日、3日と減っていき、5月下旬には完全に不登校になってしまったといいます。

Aさんが通っているのは首都圏にある私立の中高一貫校で、最近の中学受験事情を知らない私でも名前を聞いたことがあるような有名校です。子どもの頃からダンスを続けてきたAさんは、学校見学で見たダンス部への憧れからこの学校を目指すようになりました。

入学後は学業とダンス部の活動を両立して、高校1年生までは欠席もほとんどなかったといいます。それだけにお母さまは娘の不登校の理由がわからず、戸惑っておられました。

昨年、2023年度に不登校だった小中学生が過去最多だったという文部科学省の調査結果が発表されましたが、私のクリニックでも、ここ数年、不登校が理由でカウンセリングを受けるクライアントさんが増えています。小中学生や高校生だけでなく、「大学に行けない」という相談も多いです。

Aさんのように眠れなくなるというのは、不登校のクライアントさんに非常に多い症状です。疲れやすい、集中できないなど、大人のうつ病と共通する症状もよくみられます。また、食欲への影響(食欲がなくなる、食欲が止まらない)が出ることや頭痛、腹痛を訴えるケースもよくあります。

なぜ優秀なのに自己肯定感が低くなってしまうのか

カウンセリングではまず親子でお話を伺いますが、途中からはクライアントさんと1対1になります。「親を心配させたくない」「親には知られたくない」という気持ちを持っているお子さんは多く、親御さんの前では話さなかったエピソードを聞かせてくれることも多いです。

Aさんと2人になり、学校生活についてさらに詳しく話を聞いていきました。高校2年生になった時のクラス替えで仲の良いメンバーと違うクラスになってしまったこと、秋の文化祭で高校2年生を中心に行うダンス部の発表に向けて練習をがんばっていること、そして発表は楽しみだけれど、それまでに自分がみんなと同じレベルで踊れるのか不安もあると話してくれました。

また、カウンセリングを受ける不登校のクライアントさんには、中学受験を経て中高一貫校に通っているお子さんが多いです。不登校の原因はさまざまですが、がんばって勉強して入学したものの、まわりが優秀な子ばかりで自信をなくし、自己肯定感が非常に低くなってしまったことで苦しんでいるケースも少なくありません。

Aさんの通う中高一貫校は偏差値60を超える難関校。受験期は勉強をかなりがんばったということだったので、現在の学習面についても聞いてみました。自信をなくしているというほどではありませんが、大学受験に向けた勉強のプレッシャー、行きたい学部や学科が決まらない焦りなどは少なからず感じているようでした。