「認められている存在なんだ」と思えたワケ
また、「学校に戻っても、今さら来たの?って思われるのではないか」「長く休んでいた自分のことなんて、みんな関心がないかもしれない」と考えてしまう、ということだったので、相手の立場になって自分を見てみる「ポジションチェンジ」も行いました。
まず、自分と友人がそれぞれ椅子に座っているところをイメージします。そして、自分が友達の椅子に座ってみます。クライアントさんには「自分という着ぐるみを脱いで、友達の着ぐるみに着替えたところをイメージして」と表現することもあります。そして、相手になりきってから自分を見てみると、どんなふうに見えるか。どんな言葉をかけるかを考えます。
友達はできれば具体的に1人をイメージしたほうがよいので、クラスメイトのBさんの立場になりきりました。すると自然に「戻って来てくれてうれしいよ」「よく来たね。がんばったね」という言葉が出て、決して否定されているわけではなく認められている存在なんだという感覚を持つことができたのです。
カウンセリングを終了したAさんに伝えたこと
他にもさまざまなワークを行いましたが、この2つを行った翌週、「明日から学校に行ってみる」と言い出したそうです。学校のきめ細やかなフォローもあって、その後は続けて通えるようになり、カウンセリングは終了しました。
不登校のクライアントさんには、ワークの他にも運動や五感を使うことを意識した生活もアドバイスしています。特に思春期はホルモンの影響によって自律神経のバランスが整いにくく、気持ちが不安定になりやすいからです。運動や五感を使うことはうつ病の回復にも取り入れられています。
Aさんにも「いろいろ考えてしまう時は五感を使って散歩をしよう」と勧めていました。勉強が忙しい学生さんは学校や予備校の自習室、自宅だけの生活になりがちですが、自然の中で五感を刺激することで自律神経を整える効果が期待できます。もし、未来や過去のことを考えて不安になってしまったら、外に出て風を感じ、匂いを嗅ぎ、植物を愛でる時間を持ち、やはり「今ここ」に意識を向けることを習慣づけてほしいと思います。

