中学受験率は8%しかない

ツッコミどころ② 偏差値は中学受験と高校受験でも違う。高校受験の感覚で見たらダメ。

「偏差値50」は、確かに「ちょうど平均、真ん中くらいの学力」ではありますが、母集団によってその「真ん中くらい」の基準が変わってきます。この母集団は中学受験と高校受験で大きく異なるのです。

高校受験は日本全国の中学3年生のほぼ全員が参加する受験です。そのため、母集団は「全国の中学3年生ほぼ全員」ということになります。

私は公立高校受験を目指す子たちの指導をしたこともありますが、中3の夏になって高校受験のために無料体験に来た子たちの中には、「分母の違う分数の足し算が怪しい」という子や「小学校3年生くらいまでの漢字しか実は書けない」という子が何人もいました。そういう子たちまでも含めた受験生たちの真ん中が50ということになります。

一方、中学受験の受験率が高くなってきたとはいえ、受けるのは首都圏で約20%の子どもたちです。日本全国でいえば約8%です。この子どもたちは日本全国の小学生の中で学力上位の子どもたちということになります。受験率が高い地域に住んでいると、9割以上の子が中学受験をする小学校もあるので、この感覚がわかりづらくなるのが怖いところです。

教室で勉強する子どもたち
写真=iStock.com/FangXiaNuo
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“鍛えている子たち”の中で「平均」は難しい

「中学受験をする子たちが必ずしも学力上位の子たちばかりではないのではないか?」と考える方もいらっしゃるでしょう。確かにその通りです。「中学受験生=全小学生の上位の子たち」と言い切るのは乱暴です。「中学受験は賢い子しか始めない」というわけではありません。

しかし例えば、ある子どもが小学校3年生から通塾を始め、3~4年の間、週に何度も塾に通い、出される大量の宿題をこなし続けた場合と、それをしなかった場合を想像してください。前者のほうが学力が圧倒的に伸びますよね。つまり、中学受験する子どもたちは全員、受験勉強の過程で賢くなっていくのです。

この、小学生全体から見ればごく一部の、長期間にわたって鍛えられた子たちの中での平均が、中学受験における偏差値50なのです。この子たちの中で、真ん中の順位を取るのって、大変そうだと思いませんか?

スポーツに置き換えて考えてみましょう。「小3からサッカーを始めて、週に2回の練習を欠かさず、小6になったら週5で練習。チームでの練習から帰ってきたら家で自主練を怠らない」という生活をしている子たちと、「運動するのは小学校での体育くらい」という子たちとでは、運動能力に差が出てきます。前者のような子たちの中で平均的な子は、学校の体育でサッカーをやったら大活躍しそうですよね。