「常識」はムラ社会のローカルルールに過ぎない

たとえば私が卒業した東大の医学部には「東大医学部を出たからには、大学教授になるべき」という常識がありました。東大医学部を卒業したら、そのまま医局に残り、大学病院の教授になるための出世レースに勝ち残るのがエリートコース。大学病院の教授は勝ち組、それ以外は負け組と自動的に見なされてしまうわけです。

しかしぶっちゃけて言うと、大学病院とは「教授の意見に従わなければ生き残れないところ」。下っ端にとっては毎日が我慢の連続で、強いストレスにさらされ続けることになります。

一方、開業医になれば、経営の難しさはつきまとうものの、上司の顔色をうかがうことからは解放されます。教授職のように定年もありませんから、望む限り働き続けることが可能です。

このように、特定の組織内(コミュニティ内)での「常識」なんて恣意的なものでしかないことが多いのです。

「東大医学部を出たからには、大学教授になるべき」だなんて、あくまで東大医学部という「ムラ社会」においてのローカルルールに過ぎません。

実際、外の世界の人たちからしたら「教授の機嫌を取りながら働き続ける」だなんて理不尽な話ですよね。「せっかく東大医学部を出たのに、そんなに夢のない人生なの?」ってツッコみたくなりますよね(笑)。

老害恐怖症なんて手放しましょう

さて、あなたはどうでしょう。

どこかのムラ社会のローカルルールにがんじがらめになっていませんか?

「かくあるべし」が深刻化すると、自分の心を締めつけすぎて壊してしまいます。

また他人にもその「常識」を押しつけたくなってしまいがち。すると「あの人は、ルールに厳しい人」などと敬遠されてしまう危険性もあります。

ですから第二の人生こそ、いろいろな思い込みを外して、自分にも周りにも寛容になりませんか。そんな自由さ、心の伸びやかさこそ、あなたの前頭葉を活性化させることにもつながりますから。

たとえば、こんな思い込み。

「老害扱いされてるんじゃないか」

そんな不安にとりつかれている人は珍しくありません。結果、必要以上に若い世代に迎合したり、へりくだりすぎたりする人が非常に多いのです。でも本当の「老害」にあたる人なんて、全体の一割程度に過ぎないのではないでしょうか。

そもそも職場でへりくだりすぎると、仕事がうまく進まないことがあります。ですから、老害恐怖症なんてうまく手放していきましょう。

「たとえ老害と言われても、業務を遂行して職責を果たしているんだから、なんの問題もないじゃないか」

そんなマインドセットに切り替えてみませんか。

笑顔が書かれたダンボールを被った人
写真=iStock.com/hjalmeida
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