100万円前後かかるが、ヒートショック予防のためユニットバス化を
昔ながらの浴槽は、張ったお湯が41度ぐらいだと、すぐ冷めるんですよね。せっかく給湯をエコキュートにしても、お湯がすぐに冷めてしまったら、もったいない。つい温度を上げてしまって、浴槽から出たときの温度差が激しくなることにもつながる。
一方、ユニットバスの高断熱浴槽であれば、ちゃんと蓋を閉めれば6時間で2度しか下がりません。高断熱浴槽は発泡スチロールのような材料で、浴槽の外側をすっぽり囲ってあります。
リノベの予算としては一番お金のかかるところで100万円前後かかってしまいますが、ヒートショック予防という命の問題と、光熱費という家計の両方の意味でユニットバス化は欠かせない大事な項目だと思います。
この5項目でおよそトータル215万円から。既に浴室がユニットバスであれば、100万円ぐらいで収まります。安い金額ではありませんが、断熱リノベをした人が後悔している様子を見たことはありません。逆に、室温があまりにガラッと変わるので、「なぜもっと早くやらなかったんだろう」と言っている人が多いです。


断熱リノベをした家に住むだけで病気の予防にもなる
断熱リノベをする際は、断熱のことがちゃんと分かっている工務店、リフォーム専門会社に相談してください。ひとつの目安としては「家の気密性測定をしたことはありますか?」と質問してみて、そういった検査をちゃんと行っている会社なら、信用できると思います。
そして、今年の夏も猛暑が心配ですが、次に来たる冬こそ、今のような寒い思いをしないように家の快適度を上げてほしいですね。
考え方としては、断熱性の低い家に住み続けるよりも、確実に光熱費は下がるし、病気を予防できて医療費も下がる可能性が高い。家が寒すぎると、ヒートショックの危険性はもちろん、高血圧が起こりやすいなど、さまざまな疾患リスクが上がるという研究が報告されるようになってきています。
いわゆる「1次予防」に当たるわけですが、住まいを断熱化すれば病気になるリスクは大幅に下がる。日頃の生活で健康な状態をキープするには「食事・睡眠・運動」という三つの要素が重要ですが、食事や睡眠に気を付けなければいけない、運動なんて自分の根性が全てなので続けられるかどうかわからない。でも、暖かい家に住むだけで、特に自分の労力はかけなくても健康に寄与できるわけなので、リノベーションの費用をかける価値は十分にあると思います。
設計活動のほか、住宅専門紙への連載や「断熱」「省エネ」に関する講演など、多岐にわたって活躍。著書に『お金と健康で失敗しない間取りと住まい方の科学』(新建新聞社)など。