皇子誕生の祝いの席で道長の妻・倫子が紫式部に嫉妬した?

【角田】だから、読み方も自然と男性優位なものが多かったのかなと思ってしまいます。1990年以降女性の研究者が出てきて『源氏物語』の読み方がどんどん変わっているということに、期待があります。

山本先生も『道長ものがたり』に書かれていましたね。紫式部と道長が交わした和歌から、二人は恋仲だったと断定されてきたのだ、と。あるいは、皇子の誕生五十日祝いの祝宴で、道長の正妻である倫子(りんし/みちこ/ともこ)がふいに席を立ったことについて、道長と紫式部の関係への嫉妬から倫子はそうしたのだ、と。長い間そういう読み方が一般的だったけれども、山本先生は新しい読み方をされていました。