休むメリットを生まない
【はるか】そして2つめは、「学校を休むことによるメリットを生まないこと」です。
【ひとし】学校を休むメリット?
【はるか】うん。たとえば、不登校支援の中には「ゲームなども自由にやらせて、子どもの心の回復を待ちましょう」というような考え方もあります。もちろん、好きなことをやると楽しくて気持ちが前向きになったり、心が回復すると思います。でも一方で、「学校を休んだら思う存分ゲームができた」というメリットが生まれている、って見方もできると思うんです。すると、学校を休む頻度がいっそう高まってしまうこともありえます。
【ひとし】「ゲームしたいから、また学校休みたいな」と思うってことか。
【はるか】そうそう。他にも「お母さんと長く一緒にいられた」とかもメリットだよね。さらに付け加えれば、これって「壁を増やしている」とも捉えられると思うんです。たとえば、学校を休んでる間にたくさんゲームをしたとする。すると、次に学校に行こうと思ったときは、「ゲームを我慢する」という新しい壁も立ちはだかっているんです。
【ひとし】たしかに! 最初は「学校に行きたくない」だけだったのに。
【はるか】そうやって二次的な壁が生まれると、ますます学校に行くのが難しくなってしまいます。なので、学校でできないことはやらずに、学校に行っているときの生活習慣をできるだけ崩さないようにするのがすごく大事です。
休み中に家ですべきこと
【ひとし】なるほどね。じゃあ具体的に家で何をしてたらいいの?
【はるか】たとえば学校の時間割を見て、算数の時間だったらドリルをしようとか、図工だったら絵を描いてみようとか、計画を立てるのが良いと思います。あるいは、何か家のお手伝いをお願いするとか、体を動かす時間にしたりしてもいいと思います。
ただし、この点についてはいろんなご意見があると思います。とくに長期的な支援という視点では、子どもがやりたいことをやらせてあげて、親は見守ることを徹底するという考え方もあります。その点は付け加えておきますね。
【ひとし】なるほど。これは「できればすぐに学校に戻りたい」と考えてる時点での支援ってこと?
【はるか】そう、今回はあくまでも行きしぶり段階の子への支援として考えてもらえたらと思います。
そして3つめが「コンプリメントをすること(誉め言葉をかけること)」。森田直樹先生が提唱されているものなのですが、これはやっぱり、すごく効果的で大事なことです。コンプリメントで子どもの自信を取り戻してあげる。そうすることで、また学校に行く勇気が湧いてきます。