相手の年収は同等か少なくてもいい

Nさんの周りにはもともと仕事をバリバリしている人が多く、自身もそういう男性が好みだった。優しさと年収は反比例していると考える。重要な意思決定をする人は、ヒエラルキーの上の立場にいることが多い。さまざまな上下関係のなかで勝ち残ってきたからこそ、他者に対する優しさや自分のペースを守っている人は見当たらないように感じるそうだ。

だからこそ、最近は優しい人と結婚をするのもいいのではないか? と考えはじめている。年収も、自分と同じくらいか、もしくは家事を分担できる人であれば自分より低くてもいい。今までは仕事にすべてを打ち込むような男性が好みだったが、結婚となれば生活をともにしなければならない。視野を広げて相手を見つけたいという。

食事に関しては、自分の身体を作るものなのでできるだけ気を遣うようにはしている。もともと家事が苦手で、結婚すれば女性が家事や育児をしなければならないという価値観が嫌だった。でも今は十分な収入がある。特に掃除と洗濯に関しては定期的なアウトソーシングで解決させている。自分の苦手なこと・やりたくないことはお金で解決したい。今後結婚したとしても、さらに仕事でキャリアを積みながら、可能な限りやらないつもりだという。

現在は、コーチングスクールに通っている。まだ入学して日は間もないが、自分の考え方や仕事への姿勢を含め、あらゆるものが変わっていったと感じている。仕事をするエネルギーがないと話す職場や友だちにスクールで学んだことを披露して、だんだん元気になっていく姿を見ていると、幸せだなと感じる。どのような形になるかはわからないけれど、と前置きをしたうえで、いずれは講師という形でも誰かの役に立ちたいと考えているそうだ。

前向きで合理的……結婚を焦らない理由

経営者という肩書の人が好きで、ビジネスにおいてさまざまなことを乗り越えてきた人が意思決定に至るまでの思考は聞いていて面白い。その人たちの悩みを自分のコーチングスキルで解決することができれば、こんなにうれしいことはない。転職やキャリアに悩んでいる人が不安に感じていることを取り除いてあげることにも興味があるという。

女性は、自身のキャリア形成と結婚・出産というバランスを年齢も考慮しながら選択していかなければいけない。不公平だとも、男性に対してずるいとも感じる。自立した生活、地盤の固まったキャリアを積んでいたら、気づいたら出産適齢期が過ぎていたという話はあるあるなのかもしれない。

それでも、前向きで合理的な考え方を持っているNさんは、将来に対しても自分の目標に対してひた走るのだろう。自分が今したいこと、できることを考えながら、叶えていけることがNさんにとっての幸せなのだろうし、きっとあらゆることを叶えていけるのだと感じる。

あたそ
文筆家

普段は会社員。たまにインターネット上であれこれ文章を書いたりトークイベントを開いたりしている。好きな飲みものは酒。著書に『女を忘れるといいぞ』(KADOKAWA)『孤独も板につきまして 気ままで上々、「ソロ」な日々』(大和出版)など。