皇室典範の順序通りの継承にはならない可能性

秋篠宮殿下ご自身も即位を考えておられないのは、これまでの様々のご言動から知ることができる(プレジデントオンライン令和4年[2022年]4月29日公開の拙稿「皇位継承順位は第1位でも『秋篠宮さまは即位するつもりはない』と言えるこれだけの理由」参照)。

政府や自民党などは「今の皇位継承順序をゆるがせにしてはならない」などと繰り返す。しかし実際には、今の皇室典範が規定する順序のまま皇位が継承されることは、想定しにくい。むしろ、そうならない可能性の方が高い。

次の天皇にふさわしいのは

そうすると、「女性だから」というだけの理由で皇女にさえ皇位継承資格を認めない今のルールのもとで、皇位継承順位が第2位とされている悠仁殿下には、天皇というお立場にともなう責任の重さとか、平素の心がまえなどを身近に体感する機会が、まったく与えられない。

その一方で、天皇、皇后両陛下にお子様がいらっしゃらないのであればともかく、敬宮殿下というお生まれになって以来、両陛下のお側で薫陶を受けながら育ってこられた皇女がいらっしゃる。

このような構図の中で、次の天皇に即位されるのはどなたが最もふさわしいか。俄然、不透明にならざるをえない。

上皇さまの教育方針

こうした事情をよく理解しておられるはずの秋篠宮殿下は、悠仁殿下にどのような教育方針で臨んでこられたのか。

天皇陛下がお育ちになる際の上皇陛下のなさり方と比べると、そこには大きな違いがあった。まず、上皇陛下の場合を取り上げてみよう。

天皇陛下がまだ皇太子になられるより前、学習院中等科に入学された昭和47年(1972年)の定例会見(8月20日)で「浩宮様は将来の象徴になる人だと思いますが、そのための帝王学を具体的に何か……」などという質問があった。これに対して、当時は皇太子でいらした上皇陛下は以下のようにお答えになっている。

「重要なものとして、人間として望ましい人格をつくることが第一で、それに立場からくるいろいろなものが加わってくると思います。帝王学はその両方を含むものと考えます」
「(“立場上つけ加えるもの”というのは)基本的には、国民と皇室とはともに歩む姿勢が必要で、そういう人になるのに必要なことをいったわけです。(浩宮には)国民のことを常に考える人になってほしい」
二十橋・東京御所
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