理由その3、アップルがオリジナルのAI機能を強化した

そして第三の理由となるのが、2023年からChatGPTなどの登場でぐっと身近になった「AI」対応だ。アップルはこの点でGoogleやマイクロソフトにかなり遅れていたのだが、ここに来て、独自のAI機能「Apple Intelligence」(略してAI?)を開発し、大きく巻き返しを図ってきた。

Apple Intelligenceは、メールを書いたり、写真を加工したり、必要な情報を探したりといった普段使いの機能を賢いAIがサポートしてくれるというもの。これまでのiPhoneにもSiri(シリ)という音声アシスタント機能が備わっていて、簡単な計算やネット検索など、ちょっとした操作に便利だった。Apple Intelligenceはそれよりもはるかにできることが多く、より踏み込んだサポートをしてくれる。もちろんSiriもApple Intelligenceと深く融合しており、音声でより多くの操作が可能になる。

AppleIntelligence(英語版)のサンプル
Apple Intelligence(英語版)のサンプル(出典=Apple公式サイト

AIがビジネスメールを校正し、内容の精査と振り分けも

たとえばメール機能ひとつとっても、取引先に送るメールの内容をビジネスメールとして問題ないか校正してくれたり、大量に届いたメールの内容を精査して優先度の高い順に並び替えたり、要約してくれたりする。積極的に利用しない場合でも、待ち受け画面に表示されるメール着信通知が冒頭数行のプレビュー(結局冒頭のあいさつ文しか表示されないことがほとんど)ではなく、内容を要約したものになるのはかなり便利そうだ。ほかにも多くの機能、アプリでAIを活用できるようになっており、「AIに興味はあるけど、使い方がよく分からない。めんどうくさそう」という人に響くのではないだろうか。

生成AIを利用した機能はCMなどでおなじみ「消しゴムマジック」など、Androidスマホがすでに多数実現しているが、「すでにある機能を、使いやすく、実用的なものにする」のはアップルの最も得意とするところ。残念ながら日本語版の提供は来年になる見込みだが(英語版は11月より提供開始予定)、待つ価値は十分にありそうだ。なお、発表イベントでは、Apple Intelligenceが今後さらにパワーアップしていくとも予告。Android勢も含め、今後はこうしたAI機能がスマートフォン進化の主軸となっていくだろう。