高く売れるうちに早めに売却する選択肢も

30年、40年と住み続けている人であれば、住宅ローンの返済は終っているだろうが、中古マンションとして購入した人だと、まだローンが残っているかもしれない。そんな人にとっては、これからは住宅ローンの金利の上昇も懸念される。

住宅ローン利用者のうち7割以上は変動金利型を利用しているので、市中の金利が上がれば、適用金利が上がって、返済額が増えることになる。最大では25%まで増える可能性がある。

修繕積立金の増額の上に住宅ローンの返済額まで増えては、とてもやり繰りできなくなるという人も出てくるのではないだろうか。

まさに、マンションのランニング・コストはかさむばかりであり、しかもマンションは築年数が長くなるほど売却可能額が低下していくので、あまり安くならないうちに、かつランニング・コストの増加に拍車がかからないうちに売却して、ランニング・コスト負担が少なくてすむ新築マンション、また戸建住宅に移るのも手かもしれない。特に、築30年、40年の築古マンションに住んでいる人は、そろそろ考えておきたい点といっていいだろう。

ランニング・コストが少ない戸建住宅に買い換える方法も

築年数の長い築古マンションでは、築30年を過ぎると中古マンションとしての成約価格が急速に低下する。売却するのであれば、それまでのある程度の価格帯で売却できるうちに売却、比較的築後年数の短い物件に買い替えるのが安心だ。

ただし、そうなると価格はかなり高くなってしまうので、最近は購入後のランニング・コスト負担が少なくてすむ戸建住宅の人気が高まっているといわれる。それを狙った比較的小規模でリーズナブルな価格帯の建売住宅の供給に力を入れるデベロッパーが増えている。

マンションにこだわらず、戸建住宅まで含めて視野を広げてみると、ランニング・コストの負担増加の恐怖から解放されるかもしれない。

山下 和之(やました・かずゆき)
住宅ジャーナリスト

1952年生まれ。住宅・不動産分野を中心に新聞・雑誌・単行本の取材、執筆、講演、セミナー講師など幅広く活動。著書に『2017-2018年度版 住宅ローン相談ハンドブック』『よくわかる不動産業界』など。