元本保証なし、百貨店の倒産リスクには要注意

もちろん、単なるムダ遣いとなる可能性もありますが、そんなチャレンジができるのも、「ムダ遣いと割り切る」気持ちの余裕があるからこそですね。先日、私は満期金で(思い切って)高価なワイシャツを買いました。

最初は「ちょっと贅沢だったかな」とも思いましたが、実際に着てみると、それは非常に着心地が良く、また、良いものを身につけているとの自信から、仕事に良い影響が出ております。

ちなみに、デパート積立には元本保証はないので、百貨店が倒産等すれば、全額が戻ってこない可能性があります。その視点からも、いくら資金に余裕があったとしても、そんな万一のリスクを考え、デパート積立への掛金額は「元々はなかったと思える」程度の金額にするべきでしょう。

デパート積立を、絶対に利用すべき人とは

デパート積立で失敗(後悔)する人は、その高利回りに惹かれて、「おトクだし、とりあえずやってみよう」と、そのデメリットを無視して(もしくは軽く考えて)やってしまう人です。

ですので、そのデメリットである「満期金は、現金ではない(当該百貨店でしか使えない)」「満期金は、ムダ遣いしてしまうもの」をしっかり理解して、そして納得のうえ、心構えができているのであれば、デパート積立で失敗(後悔)することはないでしょう。

約15%もの高利回りを誇るデパート積立は、インフレにも十分対抗しうる商品でもあるわけですから、この物価高の中、ぜひ、大いに活用したいところです。

とくに、「この百貨店で、お目当てのモノがある」と、すでに、百貨店で買いたいものが明確に決まっている人にとっては、デパート積立は、まさに夢の商品と言っても良いでしょう。そんな人にとっては、デパート積立のデメリットは関係ありませんよね。

その百貨店で買うものが決まっているのだから、満期金は現金でなくても関係ないし、もともと欲しかったものだから、ムダ遣いでもありませんので。

なので、「百貨店で、お目当てのモノがある」という人は、デパート積立は、絶対に利用すべきでしょう。私自身も、この冬に向けて欲しいコートがありまして、それ目当てに、頑張って積立をしております。

藤原 久敏(ふじわら・ひさとし)
ファイナンシャルプランナー

1977年大阪府大阪狭山市生まれ。大阪市立大学文学部哲学科卒業後、尼崎信用金庫を経て、2001年に藤原ファイナンシャルプランナー事務所開設。現在は、主に資産運用に関する講演・執筆等を精力的にこなす。また、大阪経済法科大学経済学部非常勤講師としてファイナンシャルプランニング講座を担当する。著書に『株、投資信託、FX、仮想通貨… ファイナンシャルプランナーが20年投資を続けてみたらこうなった』(彩図社)など。