家事をテーマにした連続ドラマが近年目立つ。現在はTBSで火曜ドラマ『西園寺さんは家事をしない』が放送中だ。生活史研究家の阿古真理さんは「2016年の『逃げるは恥だが役に立つ』、2021年の『私の家政夫ナギサさん』に続くTBSの家事ドラマ3作目になり、フジテレビで昨年放送された『わたしのお嫁くん』も家事をテーマにしていた」という――。
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画像=ドラマ「西園寺さんは家事をしない」公式サイトより

TBSの「家事ドラマ3部作」なのか…

またしても、家事をテーマにしたゴールデンタイムの連続ドラマが放送されている。火曜日の夜10時台に放送中の『西園寺さんは家事をしない』は、TBSの「家事ドラマ3部作」なのか、あるいは今後も続く「第3弾」なのか。

本作には、2020年に放送された人気ドラマ『私の家政夫ナギサさん』の制作スタッフのうち、プロデューサーの岩崎愛奈と脚本家の山下すばるが参加している。大きな話題を呼んだ2016年放送の『逃げるは恥だが役に立つ』が、1作目。そして、局は違うが昨年放送された『わたしのお嫁くん』(フジテレビ系)も、家事を巡るドラマである。いずれもマンガが原作。いったいなぜ、続々と家事ドラマがゴールデンタイムに放送されるのか? そこから見えてくる現代の女性像、男性像を、改めて考えてみたい。

憧れの「家事ゼロ」生活を始めた女性

ストーリーを紹介しよう。『西園寺さんは家事をしない』は、アプリ制作会社の有能なプロダクトマネージャー、西園寺一妃いつき(松本若菜)が主人公。西園寺は貸し部屋つき一軒家を購入し、ドラム式洗濯機、ロボット掃除機などの便利家電を揃え、家事代行サービスも頼んで、憧れの「家事ゼロ」生活を始めた。しかし、アメリカの巨大IT企業から転職してきたエンジニアの楠見俊直(松村北斗)に貸し部屋を提供し、暮らしが一変する。楠見は4歳の娘、ルカ(倉田瑛茉)と暮らすシングル・ファーザー。面倒見がよい西園寺は、独りで子育てに奮闘する楠見を見ていられなかったのだ。

西園寺には、ワンオペ家事で苦労する母親が家を出た過去がトラウマで、まるで家事ができない。1年前に妻を亡くした楠見は、家事が得意でマメ。両者が暮らしをシェアする「偽家族」となり、西園寺は楠見の手作り料理を堪能する一方、子育てのドタバタにも巻き込まれる。「家事とは?」「家族とは?」といったテーマが、恋愛も絡んで進展していくと思われる。

『わたしのお嫁くん』は、大手家電メーカーの「営業の神様」だが家事が苦手で、1人暮らしの部屋が汚部屋状態の速見穂香(波瑠)が、部下で家事が大好きな山本知博ちひろ(高杉真宙)と同居する物語。