リストを書くことは目的でない

「やりたかったこと」は「やりたかったかもしれないこと」に変わり、やがては「やりたくもなんともないこと」になります。

「やるべきこと」もまた「やるべきだったかもしれないこと」になり、すぐに「やらないほうがマシなこと」になるでしょう。

そんなものをふり返って「できなかった罪悪感」にさいなまれていては、気力が落ち込んで当たり前です。

だから私としては、やはりシュレッダーにでもかけるのがいちばんだと思います。

それが惜しいというのであれば、二度と目につかないところにしまい込むなり、他の人にあげてしまうなりするのがおすすめなのです。

「リストに書くこと」が目的になっていませんか?

しかし、それではいつまでたっても「やりたいことがやれない」のではないか、と不満に思われるかもしれません。そんなことはありません。

やりたいことを「ウィッシュリスト」に保存したからといって「やりたいことができる」わけでないのは、すでにほとんどの人が経験済みのはずです。

リストに日付があるかないかも関係ありません。

やりたいことはできます。やりたいときに、すぐやることです。リストに書く前にやります。

ぼかした自然の背景に赤い砂時計
写真=iStock.com/deepblue4you
※写真はイメージです

やりたいことは3分以内にやる

できればやりたくなってから3分以内にやりましょう。

佐々木 正吾『「ToDoリスト」は捨てていい。時間も心も消耗しない仕事術』(大和出版)
佐々木 正悟『「ToDoリスト」は捨てていい。時間も心も消耗しない仕事術』(大和出版)

3分後には別人になってしまうからです。どうしてもムリだというのであれば、せめて1日以内にはやりましょう。

もっと時間が必要な、たとえば旅行などに行きたくなったら、なるべく即座にできることをやっておくべきです。

すぐ旅行に行けなくても、ホテルの予約はできるでしょう。

わざわざリストを使う必要はありません。

1日も経たずに忘れてしまうようなら、やらなくても困らないことのはずです。

<point>リストを作ったときの自分と、いまの自分は別人
佐々木 正悟(ささき・しょうご)
タスクシュート協会理事、ビジネス書作家

1973年北海道生まれ。1997年獨協大学外国語学部を卒業。2004年Avila University心理学部卒業。2022年タスク管理・時間管理術であるタスクシュートの普及と、自分らしい時間的豊かさの提唱を目的として「一般社団法人タスクシュート協会」を設立。タスクシュートのユーザー数は、25000人を超える。著書に、ベストセラーとなったハックシリーズ『スピードハックス』『チームハックス』(日本実業出版社)のほか、『iPhone情報整理術』(技術評論社)、『イラスト図解 先送りせず「すぐやる人」になる100の方法』(KADOKAWA)、『クラウド時代のタスク管理の技術』(東洋経済新報社)、『なぜ、仕事が予定どおりに終わらないのか?』(技術評論社)、『やめられなくなる、小さな習慣』(ソーテック社)、『人生100年時代 不安ゼロで生きる技術』(三笠書房)、『先送り0』(技術評論社)など。ポッドキャスト「働く人に贈る精神分析チャット(グッドモーニングボイス)」を平日にSpotifyから配信中。